パナマ文書にエマ・ワトソンの名前 ジャッキー・チェンも
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公表した「パナマ文書」の中に、映画『ハリー・ポッター』シリーズなどで知られる女優のエマ・ワトソンの名前が含まれていることが明らかになった。彼女のスポークスマンは、同書類に記載されている名前はエマ本人のことを指していると認めている。
「パナマ文書」とは、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部情報。同事務所を利用し、意図的に所得税や法人税を極端に下げているタックスヘイブン(租税回避地)の国と地域に設立された21万社以上の法人名と、その会社に関連する個人名が記載されている。脱税とは異なり、タックスヘイブンによる“課税逃れ”は違法ではないが、同文書の中には世界各国の首脳や富裕層の名前も多く含まれており、税を正しく納めている人々に対して、高額所得層や公人が租税回避目的でタックスヘイブンを利用していることは倫理的に問題視されている。利用者の名前に挙がっていたアイスランドのグンロイグソン首相やスペインの閣僚は、資産隠しの疑いが持たれ世間からの非難を浴び辞任した。
エマは同書類内で、タックスヘイブンとされているバージン諸島で設立した「Falling Leaves Ltd」の役員として名前が記載されている。エマのスポークスマンは、英メディア The Spectator に、彼女が同社を設立したことを認める一方で、「匿名性とプライバシーを守ることが唯一の目的です」と回答。オフショア企業(海外特にタックスヘイブンに設立した会社のこと)は株主の詳細を公開する必要がないため、プライバシー保護のために利用しているだけで、決して租税回避目的ではなく金融的利益も彼女にはないと主張している。
また「パナマ文書」には、俳優のジャッキー・チェンや、ワン・ダイレクションの生みの親である音楽プロデューサー、サイモン・コーウェルの名前も含まれているほか、日本企業や個人の名前も確認されている。ICIJは実態解明を進めるべく「パナマ文書」のデータベースを公開し、協力を求めている。(編集部・井本早紀)