サモ・ハン・キンポー、生涯功労賞受賞に「普通の人を演じてこられて幸せ」
香港俳優のサモ・ハン・キンポーが、イタリアで先月開催された第18回ウディネ・ファーイースト映画祭で、生涯功労賞にあたるゴールデン・マルベリー賞を受賞した。昨年はサモ・ハンの盟友であるジャッキー・チェンが同賞を授与されており、サモ・ハンは先月30日(現地時間)の授賞式で「ジャッキーは名実共にヒーロー。対して、わたしはどこにでもいる普通の人を演じてきた。そういうキャラクターを演じられて幸せだった」とキャリアを振り返った。
今年は、大林宣彦監督に続いてサモ・ハンが2人目の生涯功労賞受賞者となる。現在64歳のサモハンは、監督・出演・武術指導で50年以上もの間映画業界に携わっており、これまで香港映画界を支えた功績が評価された。最新主演作『ザ・ボディーガード(英題) / The Bodyguard』(2016)で、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ/天地風雲』(1997)以来に監督を務めているサモ・ハンは、「この賞をもらうのはちょっと早いかな」と言いつつ、記念のトロフィーを手に笑顔を見せていた。
『燃えよデブゴン』シリーズでもおなじみの愛くるしい体型はさらに貫禄を増し、授賞式では杖をついて歩いていたが、新作『ザ・ボディーガード(英題) / The Bodyguard』では華麗なカンフー・アクションを披露。父親の不祥事によってロシアと中国のマフィアから命を狙われている近所の少女を身一つで守る男を演じている。
また、トークイベントでは、香港映画界は香港の中国返還後、衰退しているという話になった。「打開策はあるか?」と質問されたサモ・ハンは、「やはりカンフー映画だと思う。今のハリウッド映画が、香港カンフー映画の影響を受けているのは明らか。わたしもよく『誰か良いアクション俳優はいるか?』と聞かれるよ」と話していた。さらに、サモ・ハンは次世代のアクション俳優の育成を考えていることを明かし、「わたしの時代は、ジャッキーやユン・ピョウなど武術学校出身者がスターになれた。でも、今は夢がない。今も中国全土には武術学校が無数にあるし、(ジェット・リーを輩出した)全中国武術大会も行われているのだから、彼らにチャンスを与えたい」とアクションへの変わらぬ情熱を語った。(取材・文:中山治美)