浅野忠信主演『淵に立つ』カンヌある視点部門審査員賞受賞!ジブリ最新作は特別賞
第69回カンヌ国際映画祭
フランスで開催中の第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門の授賞式が現地時間21日に行われ、浅野忠信主演『淵に立つ』(深田晃司監督)が審査員賞を受賞した。日本映画としては、2008年の黒沢清監督作『トウキョウソナタ』以来、8年ぶり2本目の同賞受賞となる。また、スタジオジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)も特別賞に輝き、日本関連作品が同部門で初めてダブル受賞を果たした。
授賞式の壇上で深田監督は、信じられないといった様子で「とてもうれしいです」とあいさつ。興奮気味に熱心なスピーチをし、会場は大いに沸いた。
『淵に立つ』は、下町で金属加工業を営む夫婦(古舘寛治、筒井真理子)と一人の男(浅野)の奇妙な共同生活を通じて、夫婦の抱える秘密があぶり出されていくさまを描く人間ドラマ。一方の『レッドタートル』は、嵐で難破し、ウミガメやカニや鳥たちが暮らす無人島に流れ着いた男の姿を描いた日仏合作のアニメーション映画。デュドク・ドゥ・ヴィット監督とジブリがタッグを組み、高畑勲がアーティスティックプロデューサーに名を連ねる。
ある視点部門は、コンペティション部門と並ぶ映画祭公式部門の一つ。世界各国から、独自の観点で描かれたさまざまなスタイルの作品が選出される。昨年は深津絵里と浅野忠信を主演に迎えた『岸辺の旅』で、黒沢監督が日本人として初めて監督賞を受賞。浅野にとっては、2年連続で主演作が同部門で受賞する快挙となった。今年は、是枝裕和監督作『海よりもまだ深く』も出品されていたが、惜しくも受賞を逃した。
最高賞パルムドールを競うコンペティション部門の授賞式は現地時間22日に開催。日本映画は出品されていないが、永瀬正敏の出演するジム・ジャームッシュ監督作『パターソン(原題) / Paterson』などが受賞を狙う。(取材:編集部・市川遥、文:編集部・入倉功一)
ある視点部門の受賞結果は以下の通り。
グランプリ
『ザ・ハピエスト・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・オリ・マキ(英題) / THE HAPPIEST DAY IN THE LIFE OF OLLI MAKI』 ユホ・クオスマネン監督
審査員賞
『淵に立つ』 深田晃司監督
監督賞
『キャプテン・ファンタスティック(原題) / CAPTAIN FANTASTIC』 マット・ロス監督
脚本賞
『ザ・ストップオーバー(英題) / THE STOPOVER』 デルフィーヌ・クラン、ミュリエル・クラン監督
特別賞
『レッドタートル ある島の物語』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督