J・J・エイブラムス、著作権侵害でファンを訴えたスタジオを堂々非難
この夏全米公開の新作『スター・トレック BEYOND』(日本公開10月21日)のファンイベントが先日、ロサンゼルスのパラマウント・スタジオにて、全世界から約500人のトレッキー(同シリーズの熱狂的ファン)たちを集めて行われた。イベントには、2009年から始まった同リブートシリーズの2本で監督を務め、新作のプロデュースを手がけるJ・J・エイブラムスと、新作の監督ジャスティン・リンが参加し、スタジオがファン動画を著作権侵害で訴えたことについて話が及ぶと、エイブラムス監督は「スタジオがこういったことをするのは正しいことではない」と発言し歓声を浴びる一幕があった。
オリジナルのテレビシリーズがスタートしてから、今年で50周年を迎えた「スター・トレック」。このシリーズと同じ年に生まれたエイブラムスは、「この作品が持続し続けているのは驚くべきことだ。この作品に関わることが出来て本当に光栄だよ。でも僕は、このシリーズに関わるまでは、実はこの作品のすごいファンというわけじゃなかった」と告白し、長年同シリーズのファンだったリンが、いかにかねてからの愛を新作に持ち込んだかを褒め称えた。そして、熱狂的ファンだったというリンは、自分が新作を監督することになったことを「シュールだった」と表現しながらも、「自分がこのシリーズに何か貢献出来ることを期待している。僕らがさらに50年続くような何かを作り出せることになれば嬉しい」とコメントした。
また、エイブラムスは、ファンが制作費を自分たちで集めて作った「スター・トレック」の短編「Axanar」を、スタジオ(パラマウントとCBS)が著作権侵害として訴えたことを知ったリンが激怒し、リン自身がスタジオに訴えを取り下げるように伝えたことを明かし、ファンから喝采を浴びていた。「僕らは、スタジオがこういったことをするのは正しいことじゃないと気づいた。ファンはこういうことを祝福すべきで、僕らみんながこの世界の一員なんだ。訴訟は、数週間以内に取り下げることなるよ」(エイブラムス)。
そしてエイブラムスらが退場するのと入れ替わりに、シリーズの主役たち、クリス・パイン、ザッカリー・クイント、カール・アーバンらが登場。ロサンゼルスで撮影された前2作と違って、新作はバンクーバーで撮影されたそうで、アーバンはその時の様子を「まるで大学の社交クラブみたいだった。僕らはお互い一緒にいるように強制された感じだった」と嬉しそうに語り、クイントも撮影で一番楽しいのは、「この連中(パインやアーバンを見て)と一緒にいることだ」と付け加えた。シリーズ3作目を迎え、U.S.S.エンタープライズのメンバーたちの結束はさらに強固になっているようだ。新作の公開が大いに楽しみになってきた。(取材・文:細谷佳史)
映画『スター・トレック BEYOND』は10月21日より全国公開