佐藤浩市と瑛太が解決したい未解決な事件!
昭和64年のたった7日間に起きた少女誘拐殺人事件(通称「ロクヨン」)を巡る人間ドラマを描く映画『64-ロクヨン-』で、県警広報官の三上を演じた佐藤浩市と新聞記者の秋川を演じた瑛太が、自身にとっての「未解決事件」について語った。
本作は作家の横山秀夫と映画監督の瀬々敬久がタッグを組んだ大作で、その後編には「ロクヨン」の模倣犯が登場し、原作と異なる結末へ向けて物語が加速する。14年前の未解決事件に翻弄される三上を演じた佐藤に自身の“未解決な問題”について聞くと「まあこれだけ長く映画界にいると“解決してはいけないこと”はいっぱいありますよ。解決すると誰かが傷つくとか(笑)」と意味深な発言。
そんな佐藤に「なんかある?」と促された瑛太は「浩市さんと共演させていただいた映画『大鹿村騒動記』の打ち上げのあと2人で飲みに行かせてもらったんですけど、最後は記憶がないんです。それについては未解決のままで」ととぼける。それを受けて「そこは保留」と佐藤が続けるのも、良好な関係が伝わってきてなんともおかしい。今作の撮影では主役として若手俳優を言葉で鼓舞し、現場ではたびたび食事の場を設けたという佐藤は「僕ら俳優って先輩後輩ではあっても上司と部下ではない。そういう意味では日本社会から逸脱した関係性なんですよね。だからあんがい年齢に関係なく、『飲みに行こうぜ!』と言えてしまう。地方ロケがあるとより気安くなれるし」とあくまでそうした場を楽しんだことを明かした。
一見、組織と無関係に見える俳優もそうとばかりはいえないようで佐藤は、「日本にはまるで『日本』という組織の一員にならないと社会適合者と見なされない風潮がありますよね。僕自身“サラリーマンをナメてるだろう? サラリーマンは演じるのがいちばん難しいんだ”と言われたことがあります。日々の繰り返しのなかで築く人間関係や家族の絆をどう構築するか? 僕には組織人としての経験がないので、身近な映画会社やテレビ局の人間を見ていろいろ考えたりして」と意外な努力を打ち明ける。さらに「人事というものに興味があって、誰よりも情報が早いですよ!」とまた笑わせる佐藤。どんな人間にも分け隔てなく接し、基本的に肩の力が抜けて見えるのにその芯には映画への情熱がたぎっている。
そんな「座長」の存在が現場の士気を高めたのは確かなようだ。最後にふと思い出したように佐藤が、「僕にとっての未解決な問題は、瑛太にいつ苗字がつくか? ってこと!」とあくまで場を和ませるのもさすが……か!?(取材・文/浅見祥子)
映画『64-ロクヨン-後編』は全国公開中