広瀬すず「バカヤロー」と叫んで撮影のりきる
女優の広瀬すずが11日、六本木のザ・リッツ・カールトン東京で行われた映画『怒り』完成報告会見に参加し、同作の現場で厳しい撮影スタイルで知られる『悪人』などの李相日監督の洗礼を受けたことを明かした。
妻夫木聡と深津絵里が共演した『悪人』のスタッフが再集結した本作は、現場に「怒」という血文字が残った未解決殺人事件から1年後の千葉、東京、沖縄を舞台に3つのストーリーが紡がれる群像劇。出演を熱望してオーディションで役を勝ち取ったという広瀬は、母親とともに夜逃げ同然で沖縄の離島に移り住んできた高校生・泉を熱演している。その撮影を広瀬は、「沖縄ではいろんな感情に出会えてすごく苦しかったんですけど、参加させてもらって財産になりました」と振り返る。
撮影中はリアルに自分の役を生きるまで妥協を許さないという李監督は、役者がその役をつかむまで何度も同じ芝居を繰り返させることで知られている。その洗礼を受けたという広瀬は「(現場で厳しい)監督がご飯を食べている姿を見て『監督も人間なんだ』と思うようにしました」と話して会場を沸かせ、「あるとき監督から『監督のバカヤローと叫んでいいよ』と言われたので、叫んだら『よし!』と思えて。でも自分ができないのがわかっているから余計に悔しくて。すごい経験をさせていただきました」と充実した表情で、苦しみ抜いた経験について語った。
この日の会見には、渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、妻夫木、綾野剛、佐久本宝、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子、宮崎あおいらも出席していたが、広瀬のみならずほとんどのキャスト陣から「厳しかった」と評された李監督。渡辺は「この人は夜中に帰ってきてからステーキを食べられる人です。ある意味『常軌を逸している人』かもしれない。東京、沖縄と結構過酷なロケをやってきたのに監督はピンピンしていて……」と李監督との仕事ぶりを明かしつつ、「でも最終的にできあがった映画を観ると『いいな』と思ってしまうのが悔しいよね」と笑いながら付け加えていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『怒り』は9月17日より全国公開