なぜジョンベネちゃん殺害事件は未解決なのか
ジョンベネ・ラムジー殺害事件の新情報を扱ったドキュメンタリー番組「ザ・ケース・オブ:ジョンベネ・ラムジー(原題) / The Case of: JonBenet Ramsey」について、元FBIエージェント、ジェームズ・フィッツジェラルドが9月16日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
本作は、全米を騒然とさせた6歳の少女ジョンベネちゃんの殺害事件から約20年が経過し、当時の捜査官と事件の専門家たちが集まって再調査した4時間のドキュメンタリー作品。
20年ほど経過した今でも、なぜわれわれはこの事件に引きつけられるのか。「ジョンベネは裕福な家のかわいい女の子だが、多くの少年少女はそんな裕福な家に生まれておらず、育つ環境が違っていた。さらに1996年当時は、3つのケーブル局のニュースチャンネルが24時間ニュースを放映し始めた」と語り、そんな当時のニュース映像がわれわれの頭の片隅に今でも残っていることが原因のようだ。
ジェームズがこの事件に関わった経緯は「ユナボマー(全米各地の大学、航空業界、金融関係者に爆発物を送り付けた)事件を1995年に解決したばかりで、僕はFBIの匿名の手紙を解読する言語学のプロファイラーとしてこの事件に関わった。その手紙を基にいろいろな要素を集めた」と答え、この番組に関わったのは「1年前に僕の友人であるL.A.在住でプロダクション・カンパニーを持つジム・クラメンテとローラ・リチャーズから、あのかわいそうなジョンベネの事件をなんとか解決できないかという話が出た。そこで僕が『ユナボマーの事件が20年になるからね』と答えると、彼らから『それがアイデアだ』と言われたんだ」と説明した。
なぜ、この事件は今でも未解決のままなのか。「おそらく事件があった当日、(DNAなどの)専門家がいなかった。そして、事件当初には献身的な警官や検察官たちは居たものの、そのうちの誰もこのような(残酷な)性質の殺人事件を扱った経験がなかった。彼らのほとんどは、3ページの身代金を要求する手紙の言葉を全て信じてしまったくらいだ」と語った。ちなみに番組内では、この手紙を22分かけて複写し、犯人が事件後に頭の中で考えて執筆するのがいかに困難かを示している。さらに裕福なラムジー家に対して身代金が18万ドル(約1,800万円)と少なかったのは「思いつきの額に思えるが、偶然にもその額は、父親のジョン・ラムジーがその年に受け取ったボーナスと同じ額なんだ」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)