もうハリウッドはおしまいか…『GODZILLA ゴジラ』続編、中国の巨大スタジオで撮影へ
ギャレス・エドワーズ監督が手掛けたハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』の続編は、大連万達(ワンダ)グループが中国で建設中の巨大スタジオで撮影されることが明らかになった。ワンダの会長・王健林がロサンゼルスで行われたイベントで発表したと The Hollywood Reporter などが報じた。
ワンダが80億ドル(約8,000億円・1ドル100円計算)をかけて408エーカー(東京ドーム約35個分)という広大な敷地に建設中の「青島ムービーメトロポリス」には、世界最大の屋内スタジオ、温度をコントロールできる水中のスタジオを含む30ものスタジオが並ぶことになる。スタジオだけでなく、コンベンションセンター、ショッピングモール、6軒のリゾートホテル、4つの室内テーマパーク、ヨットなどを係留する港、インターナショナルスクール&病院、アジア最大の映画館(5,300席)が備えられ、映画の制作中、映画制作者とクルー、そしてその家族たちの“家”となるようにデザインされている。
ワンダは今年1月にレジェンダリー・エンターテインメントを買収しており、この新スタジオで最初に撮影されるのは同社の『パシフィック・リム』および『GODZILLA ゴジラ』の続編となる。『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのライオンズゲートともすでに撮影の契約を結んでいるほか、同所で撮影すれば製作費の40%を助成することも発表した。近年“ハリウッド映画”は助成を求めてカナダ、イギリス、オーストラリアなど海外で作られることがかなり多いが、その傾向がますます加速することになりそうだ。
「ハリウッド映画の質を上げたい」という王会長は、ハリウッドの映画制作者たちはビジュアルエフェクトに頼るのではなく「ストーリーを語ること」に立ち戻ってもらいたいとコメント。その際には中国の観客のことも考えるべきであり、「中国人の嗜好を無視するようでは、中国市場では成功できない」と続けている。そして「これはハリウッドにとってのチャンスであり、ハリウッドと競合したいわけではない」と念を押した。
さらに、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーのシェリル・ブーン・アイザックス会長がワンダへのサポートを表明し(その代わりワンダはオープンが遅れているアカデミー博物館に出資)、ロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティは「春の初めにはロサンゼルスと青島の直行便ができること」を発表。この日流された「青島ムービーメトロポリス」のプロモーション映像のナレーションを務めたのは俳優のマット・デイモンで、2013年の起工式にはレオナルド・ディカプリオやニコール・キッドマンなどの映画スターが出席していた。(編集部・市川遥)