全編iPhone撮影!Fワード連発の娼婦を描いた好評作、来年1月公開!
3台のiPhone5sを用いて、トランスジェンダーの娼婦2人の日常をリアルかつユーモラスに描いた話題作『タンジェリン』(原題:Tangerine)が、2017年1月下旬より日本で劇場公開されることになった。
監督、脚本、撮影、編集、プロデュースまでをこなすアメリカン・インディペンデント界の気鋭ショーン・ベイカーが、話題づくりではなく超低予算のために、アナモレンズ(ワイドスクリーンを撮影するための特殊なレンズ)を装着したiPhoneで全編を撮影せざるを得なかったとされている本作。
太陽が照り付けるロサンゼルスのクリスマス・イブに、恋人の浮気にぶち切れるトランスジェンダーの娼婦シンディと、歌手を夢見る同業のアレクサンドラ、そしてアルメニア人移民のタクシー運転手ラズミックの夜が交差するさまを描くコメディードラマだ。
そんな本作は、数々の映画祭で注目を浴び、アメリカの映画批評サイト Rotten Tomatoes では97%を獲得(11月1日時点)、英国映画協会(BFI)発行の Sight & Sound 誌が発表した「2015年のベスト映画20」ではディズニー/ピクサーのアニメ『インサイド・ヘッド』と同列の14位にランクインするなど高評価を得ている。日本では昨年、東京国際映画祭で上映されたものの、今回が待望の劇場公開となる。
iPhoneならではの自由自在なカメラワークが功を奏し、主人公たちが生きるロサンゼルスのストリートの空気を臨場感たっぷりに捉えているとともに、ベイカーが複雑なトランスジェンダーの世界を描くために、ロサンゼルスの裏通りを歩き回って出会った主演の2人、キタナ・キキ・ロドリゲス(シンディ役)とマイヤ・テイラー(アレクサンドラ役)による、スラングやFワード連発のやりとりがさらなるリアルさを増幅させている。主演の2人自身が体験したことや友人たちから見聞きしたことをベースに脚本を書き上げているだけあって、下ネタ満載のコメディーながらも、最後はホロッとさせられる感動作に仕上がっている。(編集部・石神恵美子)
映画『タンジェリン』は2017年1月下旬より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開