佐藤浩市、つえをついて登壇…寄る年波には勝てないと苦笑
俳優の佐藤浩市が19日、群馬県中之条町で行われた第16回伊参スタジオ映画祭『64-ロクヨン-前編』『64-ロクヨン-後編』上映会につえをついて出席、心配する観客に向かって「寄る年波には勝てませんで」と冗談めかしつつも、「昨日、ストレッチをしているときに左太もものハムストリングスを伸ばしちゃって。ですから仕事でのケガではありません」と事情を話し、会場を安心させる一幕があった。
佐藤浩市、つえをつきながら群馬に登場…心配する観客にその事情を説明
今回の上映には佐藤のほか、『月とキャベツ』の山崎まさよしら豪華ゲストが来場するとあり、チケットはあっという間に完売。つえをつき、足を引きずりながらの登場となった佐藤だが、ステージに立てば一転。「身を削る思いでやった」という本作に対する、思いのこもった熱量あふれる話の数々を明かした。
会場には群馬県の新聞社で記者を務めた経歴を持つ原作者・横山秀夫の姿も。映画版は小説とは違ったクライマックスが用意されたが、「(映画版のクライマックスだと)続編を書くのは難しいな」と感じたといい、「先の展開も考えていたけど、佐藤さんたちが結末を変えちゃったから本当に難しい。映画が始まったら、横山秀夫の『64-ロクヨン-』ではなく、佐藤浩市の『64-ロクヨン-』となっちゃったし。面白くなくなったので、『佐藤さんにあげます、僕は続編を書きますから』といった適当なことを言ったら、それがネットニュースになっちゃった」と笑う横山。その話を聞いた佐藤も「(クライマックスの描き方をめぐっては)いろいろ攻防がありましたからね」としみじみとした様子を見せた。
さらに「テレビドラマ版の『クライマーズ・ハイ』の時も佐藤浩市の『クライマーズ・ハイ』になっちゃったし、佐藤さんとやると毎回嫌な思いをするんですね」と冗談めかした横山は、続編執筆の有無については明言を避けたものの、劇中では失踪している三上(佐藤)の娘あゆみについて、「実は担当編集者の方には、わたしが死んだ後に金庫の中を見ていただければ、あゆみがどういう人生を歩んだのかがわかる短編があると言ってあります」とコメント。「おぉ!」と驚いた様子の会場内だったが、すかさず「実はまだ書いていないんですけどね」と付け加えるなど、最後まで会場を煙に巻き続けた横山。それでも次々と示唆される可能性に会場は大盛り上がりとなった。
さらに、いろいろと言いながらも「この先、何作書けるかわからないけど、(もし続編があるなら)佐藤さんにやってもらいたい気持ちは強いですね」と笑顔を見せた横山。今回の原作と違う結末も、「瀬々(敬久監督)さんと佐藤さんが強行に言い張ってて譲らなかったですけど、その、ものをつくる真摯(しんし)な姿勢は頭が下がるし、そうでなければやってほしくないなと思いますね」と佐藤に対して全幅の信頼を寄せている様子だった。(取材・文:壬生智裕)