ゆとり演技でブレイクも複雑…なぜ?
映画『アズミ・ハルコは行方不明』に出演した太賀が、デビュー10年目にしてブレイクをした複雑な思いを明かした。
本作は山内マリコの同名小説をベースに、独身OL、安曇春子の失踪をきっかけに起こる出来事を描く青春ムービー。メガホンを取った松居大悟監督とは、『男子高校生の日常』『スイートプールサイド』に続く3作目。キャストはヒロインの蒼井優ほか、高畑充希に葉山奨之ら若手実力派がズラリと並び、「いい作品を作ろうと志が同じ人たちばかりで、今もキャスト同士は仲が良い」という。
今年、太賀はドラマ「ゆとりですがなにか」の山岸役が、主役を食うような強烈な演技で一気に注目の存在に。「今までのキャリアの中では感じたことがないようなものをいただいた気がします。そこで気づいたのは、今まで10年やってきて、自分なりに苦い思いをして作品数もそこそこ重ねてきたつもりなんですけど、『ゆとり~』で僕を知った人がほとんどで、それが真実で。今までのキャリアをふりかざしていたのは自分だけだったんだなと思った」と明かす。23歳の彼は、ドラマ「ウォーターボーイズ」の山田孝之に憧れて芸能界に入り、中学生のころから活動を始め、映画『桐島、部活やめるってよ』『私の男』『あん』など、出演作品は100本以上を数える。
「どこかで自分はやってきたという思いがありましたけど、結局世の中の皆さんに知られてやっとなんだなと。ようやくスタートラインに立てました。でも、ここからだと思うとキツイなー(笑)。まあ、とりあえず今やれることをやっていくしかないなと思っています」。
その言葉通り、若手キャストたちの中で、今どきの20代男子の典型的なキャラクターを演じている太賀。今年公開のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した『淵に立つ』で演じた山上役は、深田晃司監督が太賀の演技にほれ込んであて書き(役者をあらかじめ決めて脚本を書くこと)したものだったという。確かな演技力で魅了する彼のさらなる活躍に注目したい。(取材・文:前田かおり)
映画『アズミ・ハルコは行方不明』は12月3日より全国公開