神尾楓珠、初の実在の人物役に戸惑いも 「向き合い方が変わった」
俳優の神尾楓珠が28日、都内で行われた映画『20歳のソウル』(5月27日公開)の完成披露舞台あいさつに登壇し、初めて実在の人物に挑んだ思いを告白。神尾の本気度が現場の空気を変えたことも明かされた。この日は、福本莉子、佐野晶哉(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、佐藤浩市、秋山純監督も来場。作品のモデルとなった市船吹奏楽部の吹奏楽とダンスが融合した「吹劇」も生中継で披露された。
本作は、中井由梨子のノンフィクションを映画化したドラマ。千葉県船橋市立船橋高校で受け継がれている応援曲「市船soul」の作曲者で、20歳の若さで亡くなった浅野大義さんの姿や、市船吹奏楽部の絆が生んだ奇跡が描かれる。
浅野大義役の神尾は「実在の方を演じるのが初めてで、今まで演じてきたキャラクター役とは勝手が違う部分があって、最初はすごく戸惑いました」と率直な思いを吐露。撮影後、「人ひとりの人生を生きるってすごく大変なことだと思いました。役者という仕事は一人の人生を生きることが多いので、そこに対する向き合い方が浅野大義くんを演じて新しく変わったなと思っています」と心境の変化があったことも打ち明けた。
劇中、トロンボーンを演奏する神尾は、撮影の2、3か月前から練習を開始。「組み立て方も扱い方もわからないところから始まったので、すごく不安でした」と話すが、吹奏楽部員の協力もあって吹けるようになったようで、「本当に温かいみなさんの中でできたことはすごくよかったと思います」と笑みをこぼす。しかし、トロンボーンについては「面白いまではいかないです、まだ!」と断言。「難しいしかなかったですね……」と渋い顔を見せて会場の笑いを誘った。
秋山監督は「大義先輩のことになると、(部員たち)みんな目の色が変わるんですね。本当に尊敬している。伝説の男なので」と紹介しつつ、「最初、神尾くんが大義くんをやるっていうときに、みんな『そうなんだ……』という風に見ていたかもしれない」とポジティブな思いだけではなかったことを明かす。ところが、「日を重ねるごとに、『すごい。僕らも俳優部のみなさんに絶対に負けちゃいけない、失礼があっちゃいけない』というのが部活ノートで回ったんですよ。みんな、本気で向かってくれた」と、神尾の真摯な思いが部員たちを突き動かしたことを感激の面持ちで伝えた。
顧問・高橋健一役の佐藤も「ご覧になられてわかると思うんですけど、どこまでが出役で、どこまでが普通の高校生なのか線引きができないと思う。それくらいみんな、あるエモーショナルをもって現場に参加してくれた」と感謝した。
大勢の熱い思いが詰まった本作。神尾は「市船吹奏楽部のみなさんの青春と絆と家族の愛情、そういうものがたくさん詰まった映画です。大義くんが最後まで生き切る姿を見届けてもらえたらと思います」と呼びかけた。(錦怜那)