「ガンニバル」“あの人”役・澤井一希、恐怖とは真逆のチャーミングな素顔 シーズン2でキャリア最大の挑戦

累計発行部数400万部を超える二宮正明の人気漫画を、ディズニープラス スターで実写ドラマ化した「ガンニバル」シーズン2。「人間が喰われている」と噂されている供花村を舞台に、一人の警察官が村の恐ろしき秘密に迫る本作で、正体不明の“あの人”を演じているのが、俳優・澤井一希だ。特殊メイクを施し、人間離れした動きで視聴者を虜にする澤井がインタビューに応じ、自身とは真逆のキャラクターを演じた感想、「キャリア最大の挑戦」になったシーズン2の撮影秘話を語った。
「主役だという気持ち」で挑んだ“あの人”役

“あの人”の正体は、シーズン1最終話が配信された2023年1月末に発表された。澤井は「シーズン1の最終話までは、“あの人”自身も隠されていた状態で、生身の人間ではなく、フルCGなのではと思われていた方もいらっしゃって。そんな中での発表だったので、想像の何倍も反響がありました」と驚きを隠せなかった。
作中では“あの人”として恐怖をふりまくが、普段の澤井は爽やかで、周囲からは「優しい」と言われることが多いそう。それだけに、澤井をよく知る友人からは「“あの人”がお前なのか!?」「澤井くんが演じているの?」といった反応が多数届いたという。
澤井は、オーディションで“あの人”役を掴んだ。「前日か前々日ぐらいに『こういう作品があって(オーディション)行ってきて』と連絡を受けて、詳細を教えられない状態で、『何をするんだろう?』という状況でした。オーディション会場には、片山(慎三)監督と数名のスタッフさんがいて、『いいね~』と反応していただきました。その後、タンクトップを脱いで上半身の筋肉を披露したり、どのくらい動けるのか質問を受けました」と当時を振り返る。
“あの人”役に決定後、片山監督からは「この作品は“あの人”にかかってるから、主役だという気持ちで取り組んでほしい」という言葉をかけられた。「正直、その時はものすごいプレッシャーを感じました。重要な役を務めさせていただく嬉しさもありましたが、自分に務まるのかという不安が大きかったです」
「全員で戦った」シーズン2第1話のアクション秘話

物語が完結するシーズン2は、“あの人”の登場シーンも増え、第1話では主人公・阿川大悟(柳楽優弥)に容赦なく襲いかかる。洞窟内での対峙からはじまり、暗闇の森へ逃げ込んだ大悟を“あの人”が執拗に追いかける緊迫の攻防が描かれた。
澤井は、同シーンの撮影がシーズン2のクランクインだったという。「シーズン2の最初ですが、一番の山場と言ってもいいぐらい。柳楽さんをはじめ、片山監督、スタッフさん全員で戦いながら撮影しました」と序盤からハードな撮影に挑んだ。
「洞窟の中は暗く、地面もぬかるんでいて、その中でフィジカルを駆使して暴れまくり、身体もボロボロになりながら、ほぼ整備されてない山の中で(柳楽を)追いかけまくったり、山の急斜面をダッシュして木に飛びついたり、柳楽さんとアクションしたり、自分のキャリア史上最も身を削りました。その分、経験値は爆上がりで、今まで挑戦したことのないことが一気に詰め込まれたシーンになりました。大変でしたが、一番楽しかったです」
第4話では、“あの人”が大悟の娘・ましろをさらう衝撃展開が描かれ、物語はさらに加速していく。折り返し地点を迎えるシーズン2について、澤井は「どうして“あの人”が誕生したのか、“あの人”が持つ人間らしい愛情みたいなものが垣間見えてくると思います。“あの人”の恐ろしさ、気味の悪さに怯えていただけたら嬉しいです。」と呼びかけた。
「ガンニバル」はキャリアの分岐点

学生時代、プロサッカー選手を目指して日々努力していた澤井は、大学4年生の時にケガをしたことで、新たな道へと進むことを決断。自分のスキルを生かして「ビッグになりたい」という強い気持ちを抱いていた澤井は、大学卒業後すぐに上京し、芸能活動をスタートさせた。
高身長を生かしたモデル活動、恋愛リアリティーショーやバラエティー番組への出演を経て、「ガンニバル」で新たなステージに立った。「やるからには、“あの人”としてプロフェッショナルに演じようと思って臨みました。役者経験はほぼ0に近い状態で、いきなりとんでもない大きな作品に関わらせていただき、柳楽さん、笠松(将)さん、吉岡(里帆)さんらトップの役者さんたちと共演もできました。皆さんから学ぶことは本当にたくさんあって、目の前で刺激を受けて、いろいろな思いが芽生えたので、間違いなくキャリアの分岐点じゃないかと思います」
澤井は目標とする俳優として冨永愛を挙げ、「超一流モデルから、今は女優として素晴らしい演技を披露されています。冨永さんのように、役者としてもビッグになれるように頑張って、いろいろなチャレンジをしたいです」と目を輝かせる。
マリ人の父親を持つ澤井は、将来的には世界での活動も視野に入れているという。ディズニープラスで世界配信されている「ガンニバル」で、澤井の名は間違いなく世界で認知されているはずだ。「まだまだ程遠いですが、昔から世界に憧れていたので、まずは日本でしっかり活躍できるような役者さんを目指したいです。動画配信サービスで世界への扉がいつでも開いている時代なので、自分も世界を目指して頑張っていきたいです。柳楽さんも撮影の合間にメイクしながら英語を勉強していたり、笠松さんも実際に海外の作品に出演されています。そういった姿を見たら、いつか自分も……と憧れますね」(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「ガンニバル」シーズン2はディズニープラス スターで独占配信中