相馬 学

相馬 学

略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。

相馬 学 さんの映画短評

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  • 告白 コンフェッション
    ジャンル映画に向けた山下監督らしいラブレター
    ★★★★

     山下敦弘作品としてはずいぶんとコンパクトな尺だが、彼が『死霊のはらわた』を引き合いに出していたことを知って腑に落ちた。

     雪に閉ざされた脱出不可能な山小屋で、親友同士と思われた男ふたりの思惑が交錯する。殺すか、殺されるかにまで発展する事態はブラックユーモア満点。“死霊”が地を這って迫ってくるような描写も織り込まれ、ついつい笑ってしまう。

     つまるところ、これは山下のジャンル映画へのラブレター。とはいえ、人間の小賢しさや不器用さを客観視する彼らしさも生きている。短い尺のなかで濃密な演技をみせる、生田斗真とヤン・イクチュンの演技合戦にも見入った。

  • ユニコーン・ウォーズ
    21世紀の「ゲルニカ」は過激に弾ける!
    ★★★★

     監督のA・バスケスはスペインのコミック作家とのことだが、それも納得のポップな画作り。愛嬌のあるテディベアやユニコーンのビジュアルにブラックユーモアが結びつく。

     紫色を基調にした色彩は陰と陽が混在する強烈な世界。物語も同様で、テディベアの小隊の進軍は殺りくやサイケデリックトリップに彩られ、破滅的なクライマックスへと向かっていく。当然、脳裏への焼き付きも強烈だ。

     擬人化されたテディベアの行状は人間の愚の象徴だが、神話的な結末ではそれがより明確に提示される。戦争の悲惨をシュールに描いているという点では21世紀の「ゲルニカ」か!? 

  • マッドマックス:フュリオサ
    そもそも”マックス"は復讐の物語だった
    ★★★★

     『怒りのデス・ロード』と同じルックを持ってはいるが、物語の構造はまったく異なる。それもそのはず、あちらが3日間の物語だったのに対して、こちらは約15年の時が経過する一大叙事詩的。

     なので前作のようなチェーンリアクション的カーアクションには限界があるが、主人公フュリオサの復讐から軸足をずらさず、ドラマを研ぎ澄ませてくる。前作『アラビアンナイト 三千年の願い』で“物語る”ことの意味を考察したミラー監督らしい指向といえよう。

     思い返せば『マットマックス』第1作は復讐の物語だったが、そういう意味では原点回帰。マックスらしきキャラが一瞬登場するが、その役割をボカして描いているのも味。

  • 関心領域
    関心は、目の前の家族よりも、塀の外へ
    ★★★★★

     『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』以来10年ぶりのJ・グレイザー監督の新作だが、映像と音が結びついた不穏な世界は健在。

     一見すると幸福な家庭。しかし家長はナチ高官で、広い屋敷の隣にはアウシュビッツ収容所がたたずむ。観客が目にするのは、この家族の日常のみだが、見張り塔や立ち上る煙など屋敷の向こうにどうしても意識が行くのは本作の凄み。

    『アンダー~』と同様の静かな重低音や、ロングショットの多様など、観る者の脳を侵食するようなつくりは今回も圧倒的。ある意味ホラーな緊張感が最後まで持続する。凄い!

  •  「ウマ娘」はプレイしたことはないが、ゲーム画像は見たことがある。興味を引かれたのは筆者が競馬好きだから。

     その視点で観ると、本作が中央競馬の2001年の盛り上がりを再現していて嬉しくなった。TVアニメ版も、その時代、時代の頂上決戦、すなわちG1レースを再現しているが、それに則っているという点ではウマ娘ファンの期待を裏切らない。

     この手のアニメーションでは、煽情的な描写の無駄な挿入によってゲンナリさせられることがあるが、本作にはそれがない。見えない壁にぶち当たったウマ娘が、それを突破する爽快さ。青春ドラマとしても、よくできている。

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