なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴: 日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況: 目下のところBabyMonsterとTXTにドハマリ中。まさか高校生の姪っ子と推しが被ることになるとは…(^^;

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆき さんの映画短評

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  • アンダー・ユア・ベッド
    日本版旧作よりも説得力のある韓国版
    ★★★★

     日本の映画監督が日本の小説を韓国で再映画化するという珍しいパターン。大学時代の片想いの女性と再会した気弱な主人公がストーカーと化したところ、彼女はエリートのモラハラ夫から激しいDVを受けていた。筋書きは日本版と殆んど一緒だが、しかしより物語に深みが増したように感じるのは、SABU監督の丹念な演出の賜物であろう。また、旧作は影が薄くて地味な主人公を演じる高良健吾が美形過ぎるという点に引っかかったが、一転して本作のイ・ジフン(同姓同名の元人気歌手とは別人)の適度な普通っぽさは役柄に大きな説得力を与えているように思う。なにより、どこからどう見ても韓国映画らしく仕上がっているのは興味深い。

  • わたくしどもは。
    タルコフスキー的な映像美に目を奪われる
    ★★★★★

     佐渡島の金山跡地。そこで目を覚ました記憶のない男女が互いに惹かれあっていく。ミドリにアオにキイにアカにクロと色彩に由来する登場人物たちの名前、抽象的な様式美に重きを置いた独特の芝居とセリフ。この夢とも現実ともつかぬ世界が、やがてこの世とあの世の狭間であることが分かり、それに伴っていろいろと辻褄も合っていくのだが、しかしそれでも少なからず優等生的な「お芸術」っぽさが鼻につくことは否めないだろう。そういう意味で好き嫌いが大きく分かれる映画だとは思うが、しかしまるでタルコフスキーが日本で映画を撮ったかのような、『鏡』や『ノスタルジア』を彷彿とさせる映像美は一見の価値ありだ。

  • 告白 コンフェッション
    コンパクトな尺で一気に見せる密室サスペンスの佳作
    ★★★★

     雪山で遭難してしまった学生時代からの親友男性コンビ。もはやこれまでの命か…。そう覚悟した1人が、過去に殺人を犯していたことを告白。ところが、その直後に山小屋を発見して命拾いをする。救助隊を待つ間、狭い山小屋で2人きり。殺人の告白をバラされるんじゃないか。口封じのために殺されるんじゃないか。高山病や怪我の影響もあって、お互いの疑心暗鬼がどんどん肥大化。やがて血みどろの殺し合いへと発展する。原作コミックの映像化に際し、片方を韓国人と設定することで「言葉の壁」という障害要素も加味。よくよく考えると短絡的なご都合主義も少なくないが、しかし70分強という短い尺のおかげもあり、勢いとパワーで見せ切る。

  • バティモン5 望まれざる者
    移民問題の様々な「本質」を描く力作
    ★★★★

     低所得者層が多く住むパリ郊外の巨大団地エリアの一角「バティモン5」を舞台に、地域の再開発を巡って真っ向から対立する行政と住民の攻防戦を、前任者の急逝で臨時市長に任命されたエリート医師ピエールと、自身も団地に住むアフリカ系移民である市職員アビーの異なる2つの視点から描く。なぜか自分と肌の色が近いシリア系移民ばかりに同情し、行政のルール(それ自体が理不尽であるにも関わらず)に従わない「不良外国人」を「分からせてやる」ために、どんどん排外主義者のような真似をしていくピエールの暴走は、「普通の人」の無自覚なレイシズムを炙り出して恐ろしいほどリアル。移民問題の様々な「本質」に光を当てた力作だ。

  • マッドマックス:フュリオサ
    フェミニスト的な視点が際立つフュリオサの前日譚
    ★★★★

     強い女たちに守られた平和な地上の楽園から連れ去られた少女フュリオサが、強い男たちの支配する暴力的な弱肉強食の終末世界を生き抜かんとする。この基本プロットからして、前作以上にジョージ・ミラー監督のフェミニストぶりを実感せずにはいられない『マッドマックス 怒りのデス・ロード』スピンオフ。ビジュアルもアクション演出も前作のスタイルをそのまま踏襲しつつ、しかしこちらは10年以上に及ぶ受難と試練を描いた神話的な英雄叙事詩であり、争いと略奪と破壊に明け暮れる愚かな男社会に中指を立てる女性の物語でもある。アニャ・テイラー=ジョイの勇姿も然ることながら、クリス・ヘムスワースの「無能な悪党」ぶりがまた秀逸だ。

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