イル・ポスティーノ:映画短評
イル・ポスティーノ名作に名曲あり
TVを見ていると日本の牧歌的な風景には『菊次郎の夏』、海外となると本作のテーマ曲と、ほぼ相場が決まっている。それ程までに曲を耳にしただけでイタリアの美しい風景が目の前に広がり、さらに身分違いの二人の友情物語が甦り目頭まで熱くなる。本作を永遠にしたのは間違いなく音楽。そしてマリオを演じたマッシモ・トロイージの存在だ。M・マストロヤンニと共演した名作『BARに灯ともる頃』と真逆ともいえる役柄を演じており、比較して見ると、いかにして彼がナポリ訛りの田舎の青年を細かい芝居で作り上げたかが分かるだろう。ご存知、本作が彼の遺作となった。曲を聞く度に早逝した彼のことも想い、また鼻の奥がツンとなるのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます