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エンド・オブ・ウォッチ (2012):映画短評

エンド・オブ・ウォッチ (2012)

2013年8月17日公開 109分

エンド・オブ・ウォッチ
(C) 2012 SOLE PRODUCTIONS, LLC AND HEDGE FUND FILM PARTNERS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

傑作『カラーズ』を継承する表現のバトンリレー

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

これは同じL.A.のサウス・セントラルを舞台にした1988年の傑作『カラーズ/天使の消えた街』を意識しているはず。ポリス・アクションとしての設定や作風もよく似ていて、まるで24年後(製作は2012年)の続編だ。『カラーズ』は主演のショーン・ペンがイニシアティヴを握り、監督に敬愛するデニス・ホッパーを指名したわけだが、本作では製作総指揮と主演を兼ねるジェイク・ギレンホールがショーンの役回りに当たる。こういう世代と世代をつなぐ“表現のバトンリレー”が筆者は大好きだ。

両作が異なるのは叙述の形式だが、その点も時代の流れを反映した結果だろう。同じ臨場感の演出でも、『エンド・オブ・ウォッチ』は手持ちのデジタルカメラによるフェイク・ドキュメンタリーの手法を踏襲しており、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』以降のPOV(主観映像)を全面展開させた娯楽映画のヴァリエーションと言える。

ただ一点、いわゆる映画のカメラと、劇中で登場人物が撮影しているカメラの区別・境界が曖昧なのが気になった。尤も渾然一体にすることで、カオティックな勢いと効果を出すという「あえて」の選択なのかも。ともあれ力作であり秀作!

この短評にはネタバレを含んでいます
今 祥枝

制服警官の日常が浮き彫りにする銃社会の悲劇

今 祥枝 評価: ★★★★★ ★★★★★

白人巡査テイラーとメキシコ系巡査サヴァラの警官コンビの日常を、テイラーが持ち歩いているデジカムの視点から映し出す。さながら現場に居合わせるかのような臨場感に冒頭から圧倒されっぱなし! 起きる事件はチンピラの喧嘩の仲裁から、子供が行方不明になったという通報から殺傷沙汰、銃撃戦にギャングの抗争、火災現場からの人名救助まで、全てが同じ線上で描かれる点が、基本的にひとつの事件を追う殺人課刑事やFBIが主役のドラマとは違う。制服警官のリアルを描く手法としては、ジョン・ウェルズによる秀作TVシリーズ『サウスランド』(09-13)である。ただし、無法地帯と化した戦場のようなサウス・セントラルでの警官の日常は、筆者は醍醐味としてはやはり傑作ドラマでバイオレン色の強い『ザ・シールド』(02-08)によく似ていると思った。パトロール中に軽口を叩き合う2人の姿は、常に命の危険と隣り合わせの緊迫感の中で数少ないほっとするシーンだが、束の間の平穏が逆に起きている現実の異常さを際立たせていて、これが彼らの日常だと思うとぞっとしてしまう。もちろん、本作はあくまでも娯楽作だが、テイラーとサヴァラの会話、特に自衛手段として銃を所持することはやむなしという銃社会の深刻な現状を伝えているくだりには考え込んでしまった。社会派としてのメッセージ性にも優れた見応えのある快作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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