収容病棟 (2013):映画短評
収容病棟 (2013)カメラで鉄格子の中と観客の現実が地続きになる!
9時間の『鉄西区』に挑戦した人なら、4時間の上映時間にも涼しい顔をしていられるワン・ビン最新作。題材は精神病院だが、『チチカット・フォーリーズ』や『精神』と何が違うのか。それは「ダイレクトシネマ」や「観察映画」が撮る者/撮られる者の関係を意識させるのに対し、こちらはフレームが消滅するような臨場感があること。
実は『ゼロ・グラビティ』の宇宙空間に放り出される感覚にも近い。極めてシンプルな初期映画のやり方で「体感型」を実現させている。
「体感」だから観客の反応は様々になるはず。患者に共感するか、ゴロッとした異物感を噛みしめるか。その受容の多様性こそが幾多もの人生=物語が乱立する映画の力だろう。
この短評にはネタバレを含んでいます