お盆の弟 (2015):映画短評
お盆の弟 (2015)無茶苦茶リアルなだけに憎めないダメ人間のノンビリ成長記
嫁に三行半を突きつけられた売れない映画監督の弟と、女性に全く縁のない不器用な独身サラリーマンの兄。そんな中途半端なオジサンたちの、迷走する日常を描く。
実現するあてもない企画を思い描くだけで仕事をした気になり、同じく売れない脚本家の幼馴染との打ち合わせも結局は同類相哀れむの慰め合い。優柔不断なくせに言い訳だけは一人前で、幼い娘の父親として自立して欲しいという嫁の願いも一向に響かない。いやあ、確かにいますよ、こういう人(笑)。
全編モノクロでの撮影は大正解で、ノスタルジックな雰囲気が寓話性を高める。ダメ人間の悲哀を滲ませつつ、その僅かばかりの成長に明日への希望を見出す優しさが心にしみる。
この短評にはネタバレを含んでいます