モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由 (2015):映画短評
モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由 (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
好きになっちゃいけない相手を好きになった経験者には痛い映画
見た目は十人並だけど頭脳は明晰な女性弁護士と、見るからにチャラそうな遊び人のイケメン経営者。共通するのは気性の激しさのみ。そんな男女の10年間に渡る狂おしい愛の軌跡が描かれる。
どう考えたってお互い相容れないのに、なぜか強烈な引力で惹かれあってしまう2人。立ち止まって振り返ると、幸福な記憶よりも傷跡の方が多いのに、それでも愛さずにはいられない、憎らしくてもなぜか憎み切れない。そんな恋愛の経験者としては刺さりまくるシーンがめいっぱいで、共感するというよりもリアル過ぎて苦笑いしてしまう感じだ。
なので、逆にそういう経験のない人にはどう響くのか、筆者としてはむしろそちらの方に興味が湧く。
結婚しちゃいけない男の見本がここに!
女性弁護士がスキー事故のリハビリをきっかけに波乱万丈だった結婚生活を回想するわけだが、ヴァンサン・カッセル演じる夫ジョルジオがダメすぎる。ダメな部分も含めて「私があなたを変えてみせる」と思う女性は多いらしいが、恋は盲目ってことですな。夫に裏切られても別れられないヒロインの心情も理論上はわかるけど、恋愛体質じゃないので全く共感できず。きちんと自立した女性らしからぬ選択も愛ゆえってこと? マイウェン監督の女性としての視点はヒロインの心理描写に生きているが、男の側の心情描写がイマイチ足りない。ただ遊び相手として楽しい男性とは結婚しちゃいけないということはよくわかりました。