ハードコア (2016):映画短評
ハードコア (2016)ライター4人の平均評価: 4
ゲーム世代のDNAを継ぐ刺激的体感アクション
完全一人称映像というゲーマー視点でアクション映画を撮る。ありそうでなかった体感アクション。
走る、跳ぶ、撃つ、飛び降りるといった動作は、主人公が特殊な義手・義足を持つという設定を得たことで、超人的になる。当然、体感レベルも速く、激しく、力強い。そういう意味では十分に刺激的なエンタメだ。
見ていて思い出したのは、『アドレナリン』のネヴェルダイン&テイラーのような暴走感覚や、『第9地区』のニール・ブロムガンプ的な主観映像の面白さ。クィーンの曲の起用にはエドガー・ライト『ショーン・オブ・ザ・デッド』を連想。この新人監督はゲーム世代の鬼才たちの影響を確実に受けていると思う。
全編一人称でぶっ飛びまくりの超過激アクション
『アルティメット』シリーズとか『アドレナリン』シリーズばりのアクロバティックなハードアクション&カーアクションを、最初から最後まで完全一人称視点で描く。要するに、FPSゲームの手法を取り入れた疑似体験型アクション映画なのだが、これがね、もう思わず笑ってしまうくらいぶっ飛んでるんですわ。
まさに全編ノンストップと言わんばかりのスピード感で、肉弾バトルに銃撃バトル、カーチェイスにバイクチェイスがバンバンと展開。あっという間に死体と瓦礫の山が出来上がる。一人称カメラによる超人スタントの臨場感も抜群。あまりに盛りだくさん過ぎてしまい、どんな話だったか思い出せないくらいだ。これは必見!
明日になれば忘れてる、極上の中二映画
さんざんパクられた主観映像の『ロボコップ』誕生シーンが96分、延々続くだけと言っていい、極上の中二病映画! あまりにやりすぎて、2作で打ち止めになった『アドレナリン』シリーズの系譜ともいえるが、ヘイリー・ベネットとエロいことをできたり、無謀なパルクールをキメたり、QUEENの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」に合わせて大殺戮できたりと、プレステVRを持ってなくても、4DX上映でなくても、独り絶叫上映状態。かなりゲーム色が強いと思いきや、ハードボイルドな展開など、映画的な演出もあることから、意外にも飽きさせない作りだ。また、そこまで映像酔いはないものの、翌日には何も覚えてないことをお約束します!
これはもうサイボーグの身体を手に入れた感覚
最初から最後まで一人称視点映像。だが普通の主観映像と違うのは、主人公の手足も画面に登場すること。なので、別の身体を手に入れて動く感覚なのだ。しかも、その身体は、サイボーグ。高所から飛び降りるなど、普通の人間には不可能な身体運動が多く、超人的な身体感覚が味わえる。
この身体とシンクロするにはコツがある。最初は無意識のうちに、目に入るものを、そこで起きていることを描く普通の映像に変換してしまうのだが、それをやっていると状況の変化の速度に追いつけない。変換せず、自分の目が今これを見ているのだと思って画面に身を委ねると、うまくいく。この視覚体験は新鮮だ。