母という名の女 (2017):映画短評
母という名の女 (2017)女であることを選んだ母親が家族愛と母性愛の神話を破壊する
メキシコの海岸リゾート地に2人きりで暮らす姉妹。まだ17歳の妹が妊娠したことから、長い間疎遠だった母親が突如として舞い戻り、それなりに平和だった姉妹の日常をかき乱していく。
これぞまさしく毒親。いつまでも若さに執着する美しい母親が、それゆえ年頃の娘たちの青春を支配し奪おうとするわけだが、そのことで「血の繋がった他人」でしかない家族の関係が浮かび上がる。
その一方で、母親であることよりも女であることを選んだ実母に傷つけられることで、自分が母となった娘は逆に母性愛を強く自覚していく。結局、家族愛も母性愛も自然と備わるものなどではなく、環境によって育まれるものなのだろう。
この短評にはネタバレを含んでいます