第三夫人と髪飾り (2018):映画短評
第三夫人と髪飾り (2018)家や子孫繁栄の道具とされる女性はつらいよ!
一夫多妻制や児童婚の風習があった19世紀ベトナムの話なので、家や子孫繁栄の道具とされる女性の切なさが前面に出ている。が、監督は14歳で嫁いだ主人公メイや第二夫人の娘ニャンの言動で女性の新たな生き方を示唆しつつも、旧弊な考え方を全否定するわけでない。フェミニズムを強調しすぎない、バランス感覚が素晴らしい。実際「嫁の役目は男児を生んで、家を存続させること」と考える人は現代日本にも少なくないわけで、いわゆる名家に嫁いだ女性は避けられない宿命かもしれないし。繭を作る蚕や自然風景で登場人物の感情を隠喩的に表現する映像美にトラン・アン・ユンのDNAを感じたのだが、本人が美術監督で参加してました。
この短評にはネタバレを含んでいます