サラブレッド (2017):映画短評
サラブレッド (2017)ライター2人の平均評価: 3
心に闇を抱えた少女たちの秘め事、怖っ!
『ウィッチ』以来、注目しているアニャ・テイラー=ジョイ主演作らしい味わいであり、サイコパスが出会うととんでもないことが起きると思わせるサイコスリラーだった。友情という衣を被った奇妙なマウンティングや感情の欠落を自覚する少女の危ない言動は、同世代の観客にはかなりアピールするはず。美少女ふたりの妖しくも微妙な関係性、歪んだ思考と驚くほど大人びた会話のギャップが印象的。心に闇を抱えているせいか、少女たちの会話内容がディープすぎる傾向があるが、舞台劇をイメージしていたと知って納得。口ばかりなダメ男を演じるA・イェルチンの普通っぷりに嫌された。
舞台劇にも近い百合系アイドル映画
全米公開は2年前であるが、旬な若手女優による『ルームメイト』や『累 -かさね-』にも似た由緒正しき百合系アイドル映画。サイコパスとセレブの会話劇が中心だけに、本作が監督デビュー作となった劇作家が舞台劇を想定していたのも頷けるが、肝心なシーンを見せないシャープな演出は、ジョセフ・ロージー監督など、クラシックの影響強し。とはいえ、『ヘザース/ベロニカの熱い日』『アメリカン・サイコ』にも通じる、シニカルな笑いが散りばめられた青春映画としての醍醐味もアリ。こだわりのファッションや美術、そして登場するたび、切なくなるアントン・イェルチンと、なんだかんだで飽きさせない。