ブレイブ -群青戦記- (2021):映画短評
ブレイブ -群青戦記- (2021)ライター3人の平均評価: 4
残酷な青春が描かれる“高校生版『戦国自衛隊』”
当たりハズレがデカい本広克行監督作ではあるが、ほとんどゾンビと化した野武士たちが高校生に襲い掛かるヴァイオレンスな序盤から、殺伐とした空気感が突き刺さるなど、しっかり本気度が伝わってくる。鈴木仁演じるボクシング部員や福山翔大演じる空手部員ら、それぞれのキャラが得意なスポーツと頭脳を武器に戦う姿は清々しさもあり、見どころだが、『漂流教室』×『バトルロワイアル』というべき残酷な青春映画としても楽しみことができる。展開に関しては、ぶっちゃけ“高校生版『戦国自衛隊』”といえるだけに、新田真剣佑のキャスティングは納得すぎるが、三浦春馬は間違いなく、誰よりもいい仕事をしている。
ギリギリのところで生きるとき、人は何を選ぶのか!?
高校生たちを戦場に放り込み、妥協のないバイオレンスを描く。各キャラの感情に肉迫し、それぞれが抱えるドラマを浮き彫りにする。設定は違えど、そこには『バトル・ロワイヤル』にも似た凄みを覚える。
文明とかけ離れた戦国時代。流血がすぐそこに横たわる現実。不条理な状況に追い込まれた時、21世紀の若い命はどう反応するのか? アクション・エンタテインメントではあるが、かなり重いテーマを投げかけてくる。
三浦春馬ふんするキャラの行く末を現実とシンクロして考察することも可能だが、それを語るのは止めておく。ひとつの映画として、ギリギリのところに立つ人間の決意と、生命のたぎりに触れて欲しい。
一発逆転を信じて
以外にも単独主演としてはこれが初めてとなる新田真剣佑のポテンシャルをしっかりと確信できる娯楽作品。演技、アクション共に高いレベルのものを維持し続け、作品を牽引しています。
共演の山崎紘菜、渡邊圭裕、鈴木伸之も伸び伸びと活躍しています。
織田信長の松山ケンイチもいいですが、三浦春馬の松平元康がまたよい。いまさらながらにその喪失が惜しまれます。本広克行監督は今までにない残酷さで唐突な死を描写。おお!ここまでやるかと唸りました。戦国自衛隊を思わせる奇抜な設定に惑わされず是非見ていただきたい力作。タイトルにブレイブという言葉が入ったのも効いています。