ドヴラートフ レニングラードの作家たち (2018):映画短評
ドヴラートフ レニングラードの作家たち (2018)「出版されない」時代の苦みを青春と呼ぶ
亡命前のドヴラートフやブロツキーらが描かれるのだから、70年代ロシア版『ミッドナイト・イン・パリ』?ってとこだが、当時の彼らは辛酸をなめる無名の青年達だ。パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』を材に取った『あの本は読まれているか』も話題だが、文化人の受難が続いたソ連の統制下の焦燥が迫る。監督のゲルマン・ジュニアにとっては父の世代の物語となる。
モラトリアム青春群像としても王道の魅力。不本意な記者仕事でダメ出しを食らい、「こんな記事で稼ぐな。車を盗もう。その方が誠実だ」と友人から言葉をもらう。ナボコフ『ロリータ』の話題。ジャズが流れるビートニク的雰囲気。B・ヴィアン『日々の泡』等にも通じる味わい。
この短評にはネタバレを含んでいます