ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷 (2019):映画短評
ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷 (2019)ライター4人の平均評価: 3.5
ノスタルジックだがイケてる!期待の新たな才能
『クワイエット・プレイス』の脚本家コンビがアイデア重視だった同作とは異なり、ノスルタジーと趣味に寄って監督デューを飾った本作。70~80’sホラー好きらしく、トビー・フーパーの『ファンハウス/惨劇の館』を思わせる、お化け屋敷ホラーとなった。
お化け屋敷の仕掛けをじっくり見せてハラハラさせつつ、若者たちがマスク姿の殺人鬼から逃げ回る展開で、スリルを加速させる。殺人鬼が複数存在する設定が効いていて、その得体の知れなさ加減が緊張感を引き立てる。
ホラーの新境地というよりは過去作へのオマージュで新味はないが、恐怖演出をしっかりこなせる点に、俊英コンビの可能性を見た。次が楽しみ。
よく知らないお化け屋敷に入っちゃいけません
とあるハロウィンの夜、パーティでご機嫌になった大学生の男女が、人里離れた怪しげなお化け屋敷へ入ってみたところ、中で待ち受けていたのは狂気の殺人鬼集団だった…!という、イーライ・ロス製作による’80年代風スラッシャー映画。恐らく『ファンハウス/惨劇の館』や『ヘルハウス』辺りを思い浮かべるホラー・ファンも多いことだろう。ゆえに新鮮味は全くないものの、しかし『クワイエット・プレイス』の脚本家コンビの監督デビュー作だけあってか、あまり深いことを考えずに楽しめる良質なB級ホラー・エンターテインメントに仕上がっている。スプラッター指数もほどほどの按配だしね。
分かりやすいオマージュに、リアル脱出風味も!
ハロウィンの夜、TVで『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』を観るヒロインから始まる、いい意味でのベタさ! もちろん、『ファンハウス/惨劇の館』系譜のお化け屋敷ホラーだが、仕掛け人(殺人鬼)の多さからして、別にリメイクでもない『ファンハウス』(原題:The Funhouse Massacre)に近い。ヤツらがDIYした美術など、趣向を凝らした各部屋は、『SAW』以降のリアル脱出ゲームノリであり、『サスペリアPART2』『ハロウィン』『悪魔のいけにえ』など、分かりやすいオマージュが満載。ちなみに、残酷描写はちょっとモノ足りなさもありながら、イーライ・ロス風味入っているなど、とにかく飽きさせない。
きっちり定番の設定なのに、ものすごく怖い
お化け屋敷ホラーの定番をきっちり踏襲したありがちな設定と出来事なのに、ものすごく怖い。この恐怖演出は、これから起こる恐ろしい出来事を想像させ、それによって恐怖をもたらす。想像力を刺激する演出法なのだ。そのうえ"ああ、アレが来るぞ、来るぞ"と思わせてから、それが実際にやって来るまでの時間の長さ、その間の緊迫感の高め方が、絶妙。加えて、ヒロインの人物像と、それを少しずつ明かしていく構成でドラマを重層的に描くところにも技がある。
監督/脚本コンビは「クワイエット・プレイス」の原案/脚本コンビと聞けば、この演出にも納得。2人の新作はSFアクションでサム・ライミ製作とのことでかなり楽しみ。