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MISS ミス・フランスになりたい! (2020):映画短評

MISS ミス・フランスになりたい! (2020)

2021年2月26日公開 107分

MISS ミス・フランスになりたい!
(C) 2020 ZAZI FILMS - CHAPKA FILMS - FRANCE 2 CINEMA - MARVELOUS PRODUCTIONS

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

なかざわひでゆき

美の追求を通してアイデンティティを模索する物語

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 幼い頃からミス・フランスになることが夢だった若者が、同じ安アパートに暮らすマイノリティの友人たちに支えられながら、男性であることを隠してコンテストに挑むこととなる。ルッキズムに性差別・人種差別など、様々な社会問題を巧みに絡めながら画一的な美の概念に疑問を呈し、人それぞれが自身の内面から輝く“美しさ(=アイデンティティ)”を肯定し、胸を張って生きていくことの大切さを訴える脚本には心から共感する。性別不詳の元スーパーモデルにしてサルヴァトール・ダリのミューズ、そして伝説のゲイ・アイコンであるアマンダ・リアが、ちょっと怪しげな美の達人として冒頭に顔を出しているのも要注目だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

自分らしさは自分で決めること!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ノンバイナリーなアレックスのミス・フランス挑戦に多様性と寛容がもたらす心の豊かさや美の概念、アイデンティティの自覚といった多重のテーマを絡めた意欲作だ。主人公を取り巻くドラッグクイーンの娼婦や移民で構成された擬似家族がかしましく交わす会話に深い真実が込められていて、人間には自虐と思いやりが必要と納得してしまう。外見重視や性差別の観点で語られることが増えたミスコン批判を盛り込みつつも、出場者同志の友情や共闘も描かれるのは監督の優しさだろう。おかげでミスコンの好感度UP! ジェンダーレスモデルとして活躍するアレクサンドル・ヴェテールの存在が際立っている。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

アレクサンドル・ヴェテールの美しさに説得力あり

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 身体は男性だが子供の頃からミス・フランスになるのが夢だった人物を、実際に性別ボーダレスなモデルとして活躍するアレクサンドル・ヴェテールが演じて、説得力抜群。コンテストでライバルたちと並ぶ姿を見ても、この人が選ばれても当然だと思わせる。そんな周囲に否定されても自分の信念を貫く主人公の物語だが、それだけではないところがポイント。ミスコン企画側の女性も、別の場所で周囲と意見が対立する状況にあり、2人はその共通点から同志として認め合う。闘う者同士の友情の物語にもなっているのだ。加えて現代の物語に相応しく、ミスコンの本質とは何なのか、それは変化しないのか、という今日的なテーマも盛り込まれている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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