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仕掛人・藤枝梅安 (2023):映画短評

仕掛人・藤枝梅安 (2023)

2023年2月3日公開 134分

仕掛人・藤枝梅安
(C) 『仕掛人・藤枝梅安』時代劇パートナーズ42社

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

これぞ大人向けの本格時代劇!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 「必殺」シリーズの原点となった池波正太郎の時代小説を、原作者の生誕100周年を記念して映画化。一応2部構成となっているが、物語は1本で完結している。これこれこれ、これですよ!テレビ版シリーズ初期のハードボイルドなテイストとダークな映像美をそのままに、劇場用映画だからこそのエロスとバイオレンスを絡めた大人向けの時代劇。三隈研次や田中徳三など大映時代劇のファンにもたまらないだろう。江戸時代の男尊女卑的な社会において、男たちに尊厳を踏みにじられ食い物にされる女たちの、怒りや哀しみや恨みが滲み出てくるようなストーリーも重厚で見応えがある。これは2部作と言わず、以降も定期的にシリーズ化して貰いたい。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

殺し屋のスリルに、時代劇版「きのう何食べた?」的ホッコリも

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

基本は正統派の時代劇。かつて、つねにテレビをつければ流れていたような世界に、安心感が充満する。俳優たちの佇まい、いい意味でのやや大仰な演技とセリフ、懐かしい時代が匂い立つような空気が全編に貫かれている。

そんな安心感を崩すのは、梅安の「仕事」まわりの描写で、その瞬発的判断とスゴ技テクニック、情け容赦なさに、殺し屋ムービーの狂気が顔をもたげる。そのメリハリが鮮やかで、豊川悦司が時折放つ氷のような低体温ムードがハマる。

ただ最も印象に残ったのは、梅安と片岡愛之助の彦次郎の、つつましやかな食事シーン。とくに終盤、すべてを理解し合った間柄だからこその会話が年末の除夜の鐘とともにしみじみと後を引く。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

気概を見た!

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

とにかく、気合を入れて本物の時代劇を作ってやろうじゃないか!!という気概が伝わってくる本格時代劇。豊川悦司、片岡愛之助、天海祐希を筆頭に隅々まで豪華すぎるキャストが集結、ロケ地もセットも、小道具も撮り方もとても芸が細かくできていて見ごたえたっぷりです。豊川悦司の藤枝梅安は思わぬはまり役、こういう緩急の効いたキャラクターははまりますね。勧善懲悪というような定型の物語でないところがまた沁みます。現代に通じる感情もあって、時代劇だと思って見るの止めるのはもったいないです。池波正太郎が見たらどう思うか気になる所ですね。4月のパート2が早くも楽しみでなりません。

この短評にはネタバレを含んでいます
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