Single8 (2022):映画短評
Single8 (2022)ライター2人の平均評価: 4.5
映画作りの歓びとトキメキと興奮が詰まった珠玉の青春映画
時は1978年の夏、いよいよ日本公開された『スター・ウォーズ』の特撮に感動した高校生たちが、夏休みに自分たちも8ミリでジョージ・ルーカスばりのSF映画を撮ろうと大奮闘する。まるで『フェイブルマンズ』の田舎の高校時代パートを切り抜いて、’70年代の日本へ舞台を移したような作品。映画を見るだけでなく作ることに目覚めた映画少年たちの、歓びとトキメキと興奮が鮮やかに甦る。時代の空気感まで再現しきれていないのは、低予算の自主製作映画ゆえ仕方ないが、しかし劇中劇である8ミリ映画の独特の風合い、ギルバート・オサリバンやプロコル・ハルムを彷彿とさせる音楽スコアがノスタルジーを高める。なんとも愛おしい映画だ。
8ミリ小僧にはたまらんエピソード満載
『SUPER8/スーパーエイト』に感化され、高校時代の自主映画制作を描いた小中和哉監督作が、『フェイブルマンズ』と同時期に公開される面白さ! 当初『スター・ウォーズ』のようなSFを目指すも、「少年ドラマシリーズ」のようなファンタジーに落ち着く過程も、いかにも小中監督らしく、Bカメで今関あきよし監督が参加するほか、カメラ屋で働く大学生から学ぶ撮影技術など、8ミリ小僧にたまらんエピソード満載。『さよなら、バンドアパート』でも共演していた上村侑と髙石あかりによる淡い初恋物語も散りばめられ、70年代の甘酢っぽさもたっぷり。誰もが共感できるとは言い難いが、変化球の「あの頃映画」として楽しめる。