本木雅弘、アカデミー賞直前インタビュー!「今でも他人ごとのよう…」
第81回アカデミー賞
昨年国内でもロングラン大ヒットを記録し、モントリオール世界映画祭でのグランプリを皮切りに、ついに第81回アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた映画『おくりびと』。国内外で熱い注目を浴びる本作で、納棺師という特殊な職業に就いた男性を熱演した本木雅弘が、アカデミー賞ノミネートの驚きや喜びについて語った。
この映画の撮影中はまったくアカデミー賞候補になるとは思っておらず、ノミネートの知らせを聞いた本人が心底驚き、最初は家族にも「え、本当?」となかば疑いのまなざしを向けられたと笑う本木。
「もうそのすべてが実際人ごとのような感じで。確かに日本以外でも、(国際映画祭などで)観客賞などをいただき、作品が愛されたという力が追い風になっているのを客観的に感じますが一体、どこがどう評価されたのか逆に聞きたい!?」と今でも驚きを隠せない様子だ。
実際海外でのリメイクの話もあるらしく、「ちらりとプロデューサーの方がね、そういうオファーがあるようなことを言っていましたけれど」とそっと教えてくれた。
最近海外で邦画の評価が高まっているが、邦画にはアスファルトの下からでも生えてくる雑草のような底力があると語る本木は、「アニメーションやメイクアップの世界などでも、評価をされる日本人が多いというのは緻密(ちみつ)で地道な作業を得意とする、日本人の器用さの成せる技でしょうね。そして型を意識した日本独特な儀式の神秘性、さらに日本的な物語や表現のあいまいさが、かえって奥行きのあるイメージを感じさせているのかな」と日本作品の魅力を分析した。
本作は彼の出演作としては珍しく、ほかの現場のスタッフや、街で映画を観た人たちに声をかけられる率が映画『シコふんじゃった。』以上に高かったという。この映画の大ヒットのおかげで、納棺師の志望者も殺到しているとのこと。
「やはり作品を通して皆さんにも新しい世界を知ってもらい、その発見がまた別の道につながっていくといいですね。映画が一つの娯楽として終わるだけではなく、何かしら人に影響を与えるということになれば、よりうれしい話です」と語った。
アカデミー賞ノミネートを受けても気張ることはなく、俳優としてこの作品に参加できたことの喜びを語ってくれた本木。そこにはいいものを作りたいと願う職人としての誇りが見え隠れする。ごく身近な物語が観客の共感を呼ぶ逸品は、きっと人種や文化の壁を軽々と乗り越えて、世界中の人々の心にダイレクトに響くはずだ。いよいよ23日月曜日はアカデミー賞授賞式当日。日本代表の『おくりびと』の行方に日本中の注目が集まる。
映画『おくりびと』は新宿ピカデリーほかでロングラン上映中