ピンク映画50周年記念特集上映開催!滝田洋二郎、周防正行監督らも輩出!「もう一つの日本映画史」
現在も一線で活躍する監督を輩出し、日本映画を語る上ではずせない存在である「ピンク映画」の生誕50周年を記念した特集上映が、「午後8時の映画祭」として今月18日からおよそ2か月にわたって、銀座シネパトスで行われる。
1962年、大蔵映画配給の小林悟監督作『肉体の市場』が猥褻(わいせつ)容疑で警視庁に摘発され、逆に話題性によってヒット。これをきっかけに、斜陽を迎えていた日本映画会を立て直す産業として、低予算の成人向け映画市場が急成長。本作は日本製ピンク映画第1号といわれる存在となった。
今回の特集上映は、それから50年の今年を「ピンク映画50周年」として記念するもの。反体制を打ち出した作品群で当時の若者に支持された若松孝二監督作品のほか、『おくりびと』の滝田洋二郎監督、周防正行監督、廣木隆一監督、瀬々敬久監督ら、一線で活躍する監督たちのピンク時代の作品を上映。またいまおかしんじ監督、故・林由美香さん主演の『たまもの』など2000年代の作品もラインナップし、貴重な旧作から近年の作品までを網羅した7月までの長期にわたる記念企画となっている。
成人映画という枠組みゆえに、その存在が隠されがちなピンク映画。現在はDVDソフトやネットの普及などもあり、その製作本数と専門映画館は減少の一途をたどり、末期的な状態となっている。しかし、斜陽にあった日本映画界を支えたことは事実。また、作家性の高い作品を生み出し、世界で活躍する作り手たちを輩出してきたその姿勢に変化はない。50年という記念すべき年にあわせ、本特集上映が、いま一度「もう一つの日本映画史」を見つめ直す機会となるか。(編集部・入倉功一)
「ピンク映画50周年記念特集 PINK FILM CHRONICLE 1962-2012 Part1 -午後8時の映画祭-」は5月18日から7月9日まで銀座シネパトスにて連日20:00よりレイト上映