中国が世界を破滅に向かわせる?中国がWTOに加盟したことでアメリカにもたらした影響とは?経済学者が激白
2001年にWTO(世界貿易機関)に中国が加盟したことで、その後米国との貿易を通して、中国がアメリカ経済に与えた影響を描いた新作『デス・バイ・チャイナ(原題)/ Death By China』について、ピーター・ナヴァロ監督が語った。
同作は、WTO(世界貿易機関)への中国加盟によって、米国は中国との自由貿易から知識財産権の侵害、違法商品の輸入、低賃金労働者が増加し、さらにそれらによってアメリカの製作工場を次々と閉鎖し、近い将来大きな経済的破綻を招くことなることを訴えたドキュメンタリー作品。
この映画の監督で、アメリカの著名な経済学者でもあるピーター・ナヴァロは、製作経緯について「すでに中国に関して『中国は世界に復讐する』と『Death by China (中国が(世界を)破滅に向かわせる)』の2作の本を執筆したが、より多くの人々に知ってほしいために、映画化をすること決めたんだ。できるだけ選挙戦に間に合うように製作したため、ニューヨークの上映とアメリカのレイバー・デー(9月の第一月曜日)が終わってから、選挙戦前にオハイオなどを含めた全米20都市でこの映画を上映するつもりだ」と明かした。
ピーター・ナヴァロは、中国共産党こそが世界にとって脅威で、中国人も同じ脅威にさらされていると考えている。冷酷無情な集権政府が問題の根源であるとしているが、「我々アメリカ人にも問題はあるんだ。僕らアメリカ人が、中国の商品を購入(違法商品を含め)したことで、中国の軍事力の助長や知識財産権の侵害を生み、さらにアップル社、GE(ゼネラル・エレクトリック)社、GM(ゼネラルモーターズ)社などの中国に製造会社を持つアメリカの企業は、中国の進出によって、より多くの中国の低賃金労働者を増加させてしまった」と語る通り、アメリカを代表するスーパーマーケットのチェーン店、ウォールマートの商品の90%が中国で生産されているという事実がある。
そこでピーター・ナヴァロは、12月に行われたアメリカを代表する大会社のCEOが集うYale CEO Summit of the Chief Executives Leadership Instituteに参加し、大会社のCEOたちに、中国共産党がもたらすアメリカ経済への影響について主張したそうだ。「ところが、彼らCEOの多くは聞く耳さえ持ち合わせていなかった。すでにそのサミットに参加した多くの会社は多額の資金をつぎ込んで中国に製造会社を建設し、自由貿易のもと経営しているが、株価によって成り立つ会社である以上、我々の懸念が受け入れられることはないんだよ……」と厳しい現実を語り、そのため、あえてアメリカ国民一人一人が中国の製品を買う前に、購入がもたらす結果を考えてほしいとも話した。
映画は、中国の共産党政権により“道徳の空白”が生まれ、環境汚染、資源の略奪などが起きていることにも触れていて、今後の中国に対する貿易がいかに世界の経済を左右するかが理解できる作品にもなっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)