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『ルイスと未来泥棒』小林幸子 単独インタビュー

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『ルイスと未来泥棒』小林幸子 単独インタビュー

待っていてくれる人がいるって、すごくいいと思う

取材・文:南樹里 写真:田中紀子

“夢と希望”を描くディズニーの新作映画『ルイスと未来泥棒』は、養護施設で育った発明好きな少年ルイスが、実母との再会を夢見る物語だ。日本語吹き替え版で、ルイスを温かなまなざしで見守る施設の管理人ミルドレッドの声を担当した小林幸子が、アフレコ時の裏話やディズニー映画についての思いを語ってくれた。

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歌と同じくらいディズニーの作品が好き

小林幸子

Q:ミルドレッド役のオファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか?

子どものころから大好きだったディズニーの作品ですから、「やったー!」という喜びと、「わたしでいいんですか?」という戸惑いがありました。お芝居や舞台を経験しておりますけど、女優という意識はないですからね。

Q:ディズニー作品の魅力について。お好きな作品やそれに関するエピソードを教えてください。

45年やってきた歌と同じぐらいディズニーの作品が大好きなんです。好きな作品は……もうねえ、いっぱいあり過ぎて……。子どものころ、初めてディズニーの作品に接したのは、絵本の「シンデレラ」でしたね。本当に子どもだったから「シンデレラは、継母(ままはは)にいじめられてかわいそう」とか。「うわぁ、かぼちゃの馬車ってあるんだぁ」と思って、カボチャに対して一生懸命におまじないをかけたこともあるんですよ(笑)。きっと女の子なら試したことがあると思います(笑)。そういったことって、いくつになっても忘れないものですね。だから、描かれる世界にスーッと入り込めるのが、ディズニー作品の魅力の1つだと思います。今回、『ルイスと未来泥棒』を最初に観たときは、涙が止まらなかったです。

Q:ミルドレッド役の声は普段の声とは違いますね。

ミルドレッドは寮母さんですから、子どもの個性を尊重しつつ、温かく包み込む母親的な優しさを表現しようと思いました。歌を歌う場合もそうですが、歌詞の中にも人間像があります。それによって声質を変えるので、そういう場合と同じです。ミルドレッドの場合は、“小林幸子色”を抑えるようにしました。とはいえ、あまり引いてしまうのも……ということもあり、そのバランスには注意しました。

Q:海外アニメの吹き替えを担当されるのは映画『トムとジェリーの大冒険』以来ですが、口の動きを合わせるのは難しいのでは?

難しかったです。オリジナルは英語なので、日本語とは口の開け方も動きも違います。それを日本語で合わせるのだから大変でした。日本のアニメの場合ですと「あ」は「あ」ですけれど、外国のものなので「あ」が「アー」みたいになりますからね(笑)。でもそれは決められたセリフではなくて、自分で入れようと思ったアドリブなんです。声に合わせて、ついつい動きも一緒に、オーバーアクションになってしまいましたね(笑)。

日本語の美しさを再認識

小林幸子

Q:今回のアフレコで、何か新発見はありましたか?

アニメのアフレコは何度かやらせていただいていますが、今回あらためて感じたのは、「日本語っていいなあ。美しい言葉だなあ」ってことですね。

Q:そういった“美しい言葉”を伝えるのは、歌詞に思いを込めることと同じでしょうか?

そうですね。すてきな言葉、美しい言葉をはめこんでゆく。一語一語の言葉を大事にして、聞いている人に意味が伝わるように発すること。それは歌手として、歌詞に心を込めているのとまったく同じです。

Q:主人公のルイス君は子どものころからの特技を生かして“夢”を実現しますが、小林さんの場合はいかがですか?

わたしの場合は“夢”といっても、ルイスとはちょっと違いますね。9歳で芸能界に入ったのは、父親が面白がって視聴者参加番組に応募したのがきっかけなんです。でも、芸能界に入ってお仕事をしているうちに、どんどん夢は広がっていきましたから。わたしには常に「歌を歌うこと!」が一番にありました。歌うことは、“夢を与える仕事”なんです。音楽って、人々を笑顔にすることが可能なんです。皆さんに笑顔になってほしいから歌う。そのとき、「あー、ずっと歌手を続けていきたい!」って思いました。で、続けるためにはどうしよう? って考えるわけです。

Q:劇中の名言「Keep moving forward(前に進め)」はウォルト・ディズニー氏の言葉だそうです。挫折しても、何かを成し遂げるために逆境を乗り越えることが大切、というメッセージが描かれていました。

そうですね、ルイスも逆境にめげないですね。前に進むって大事なことです。でも、前に進むためには「後ろを振り向くな!」ってことではないと思うんです。いったん、後ろを振り返って「うん、間違っていない!」って方向を確認して前進することが大切だと思います。例えば、歩くこと、走ることを考えれば、人間の体は、前に進むようできているのだから、簡単にあきらめちゃいけないんです!

パワーの源は故郷の新潟

小林幸子

Q:「夢をあきらめない!」と決めたルイスには「お母さん」という支柱がありました。ご自身にとっての支柱とは何でしょうか?

わたしは、デビューしてからの15年、まったく売れなかった時代がありました。そのときに“挫折”って何度も体験しているんですよ。でもね、そのときに故郷を思うんです。わたしにとって故郷の新潟はパワーの源なんです。「『ヒット曲を持ってきました』と言って帰りたい!」と思っていましたからね。故郷があったからこそ、反骨精神を培って、頑張ってこられたんです。この話をすると、うるうるしちゃうんですけど……。待っていてくれる人がいるって、すごくいいと思う。だから、ルイスもきっとそうだったと思います。

Q:最後に本作をご覧になる方にメッセージをお願いします。

この映画では未来の世界も描かれますけど、“未来を大事にするには、今を大事にすること”というメッセージが詰まっています。そして、お子様だけでなく、大人の方にも子どものころの夢を思い起こさせてくれるすばらしい映画です。最後には号泣すると思いますよ。ぜひ、映画館でご覧ください。


ミルドレッドの役柄に合わせ、上質でシックな衣装で現れた小林は、まばゆいオーラを放ちつつ、個人的にも思い入れの強い作品だというディズニー作品の魅力やアフレコ秘話を語ってくれた。優しい語り口には慈しみの思いが込められており、安心感に包まれて心が癒される感じがした。夢を持てないでいる人、夢を忘れかけている人、そして夢をあきらめかけている人は、ぜひ本作で“夢の大切さ”を思い出してほしい。

映画『ルイスと未来泥棒』は12月22日より丸の内ピカデリー2ほかにて全国公開

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