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小泉なつみ×きくちあつこ「ファッションと映画 ‐映画はオシャレが9割!‐」(2/4)

【Theme #2:お仕事×ファッション】

お仕事×ファッション
illustration by:きくちあつこ / oookickooo

全世界の女子を悩ませる、「仕事×おしゃれ」の両立

 女性誌の「1か月間着回し企画」が好きだ。だいたいそれは物語仕立てになっていて、「ファッション誌編集部で働くユミ」や「ブランドの広報として活躍するミキ」などを主人公に、

 「今日は大事なプレゼンデー。気合の白ジャケで商談相手もイチコロ♪」
 「大好きな先輩にワンピを褒められちゃった! これってなにかのサイン?」

みたいな感じで日々のコーディネート術を紹介しながら、仕事と恋模様が展開。そして最後は意中の彼とゴールインして終わるのが定石である。

 でもこの企画を私仕様でリアルにつづるなら、

 「今日は二日酔い。お風呂も入れなかったのでマスクとひっつめ髪でGO!」
 「徹夜Day。ゴムのウエストで乗り切るぞ♪」

になる。だって仕事で着る洋服は、9割が実用だ。それでも毎号飽きることなく着回し企画を精読してしまうのは、「おしゃれも仕事も頑張るわたし」を諦めきれないからであります(恥)。

 そんな「おしゃれも仕事も頑張るわたし」を体現したエポック的作品が、『プラダを着た悪魔』だ。

プラダを着た悪魔』(2006年製作)

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『プラダを着た悪魔』
『プラダを着た悪魔』 - 20th Century Fox/Photofest/MediaVast Japan

監督:デヴィッド・フランケル
出演:メリル・ストリープアン・ハサウェイほか

 男たちが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を何回でもおかわりできるように、働き女子たちは『プラダ』で何度でも燃えることができる。

 なぜこんなにも女子は『プラダ』が好きなのか改めて考えてみると、おしゃれをすることが仕事のステップアップとリンクしているからだと思い当たった。

 一流ファッション誌で働くヒロインのアンディは、おしゃれすることも仕事。だから普通の職場では到底履けないシャネルの超ロングブーツを身につけていようとも、原稿チェック時に邪魔になりそうなロングネックレスをしていようとも、世界中の働き女子はアンディに自分を重ねることができる。

 そして彼女はもっとも自分らしいかたちでキャリアとおしゃれの両方を手にするのだが、その変化がきちんとファッションに表れているのがいい。

 アシスタント時のアンディが身に着けていたものは確かに一流品ばかりだったが、それは文字通り“着ているだけ”で、どうにもグッとこない。しかし一転、ラストで見せるマニッシュなパンツスタイルは、ジャーナリストという夢に向かって歩み出そうとする彼女の心情とばっちりリンクしていて、お洋服を自分のものにしているのがわかるのだ。

 そんな『プラダ』でアンディを演じたアン・ハサウェイがファッションサイトの社長にふんしたのが、『マイ・インターン』

マイ・インターン』(2015年製作)

『マイ・インターン』
『マイ・インターン』 - (C)Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:ロバート・デ・ニーロアン・ハサウェイほか

 本作のジュールズはすでに仕事で成功を収めているがゆえ、アンディよりもぐっとコンサバで、会社や家庭を支える大黒柱的落ち着きを感じさせるスタイリングが◎。よって、こちらの方がリアルにまねしやすいコーディネートなのは間違いない。

 転職したり、彼が変わったり、出産したり、肌が重力に負けてきたりと、女の一生は変化の連続だ。そんな中で、少しでも自分らしいスタイリングができないかと、毎朝鏡の前で四苦八苦する。それが着回し企画のようにうまくいかなくたって、トライすることをやめない限り、女子たちは『プラダ』や、『マイ・インターン』をそっと再生し続けるのであります。

Inspired by:Fasion Movie #2『プラダを着た悪魔』
illustration by:きくちあつこ / oookickooo

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