小泉なつみ×きくちあつこ「ファッションと映画 ‐映画はオシャレが9割!‐」(3/4)
【Theme #3:カラダも、ファッション】
隠さずバーンと見せてこそ! 美しき女体が最大のアクセント
首が短かったり体に凹凸がなかったりすると体育着ライクになってしまう、無地のクルーネックTシャツ。そんなベーシックにして危険度の高いアイテムをこのうえなくおしゃれに着こなしているのが、『メリーに首ったけ』のメリーであります。
98年に作られた本作は鮮烈な下ネタと身体障害者を使ったギャグで有名ですが、実はファッション的にも見どころ満載な1本。
『メリーに首ったけ』(1998年製作)
監督:ボビー・ファレリー
出演:キャメロン・ディアス、マット・ディロン、ベン・スティラーほか
男たちを骨抜きにするメリーを演じたキャメロン・ディアスが魅せる、首が詰まったTシャツ×濃いインディゴのジーンズ、そしてぺたんこ靴の合わせは最高にキュートで、オードリー・ヘプバーンの「サブリナルック」と並べても遜色ない「メリールック」。
これはもちろんキャメ嬢の完璧ボディーあってこそのスタイリングだけれど、メリーという女の子の裏表ない健全さ、ヘルシーな魅力を表した衣装でもあって、心・技・体をもってTシャツを制したお手本であります。
そして無地Tに加えて注目してほしいのが、リボンやフリルといった装飾が一切ない、そぎ落とされたデザインの白いブラジャーとパンティー。「うちは使ってる素材がいいんで、塩でどうぞ」といった感じの超ミニマムスタイリングをぜひ堪能してください。
そんな“素材”を生かしたもう1本が、女子大生のらんちき騒ぎを描いた『スプリング・ブレイカーズ』。
『スプリング・ブレイカーズ』(2012年製作)
監督:ハーモニー・コリン
出演:ジェームズ・フランコ、ヴァネッサ・ハジェンズ、セレーナ・ゴメスほか
93分の本編中、93%の割合で水着姿が拝める本作は、表面張力ギリギリで保っているような爆弾ボディーがひたすらにまぶしい。
正直、ヒロインたちのスタイルはキャメロン・ディアスのそれに比べれば劣るかもしれません。でも、腹が出ていようが太腿と太腿がくっついていようが、包み隠さずバンバン出す。パレオやフリルなんかつけなくたって、女体の曲線そのものがクールであることを男性監督がよくよく理解している作品であります。
そして、己の体を武器に人生を切り開いた女傑を描いたのが『エリン・ブロコビッチ』。
『エリン・ブロコビッチ』(2000年製作)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカートほか
シングルマザーのエリンは極貧のどん底生活のなか、弁護士事務所で職をゲット。しかし職場に似合わぬミニスカート&ブラ見せファッションによって、周囲の女たちから反感を買ってしまいます。そこで上司に服装をとがめられた彼女が吐く一言が、最高にかっこいい。
「ケチがついても似合うから着てるの。ヒップがたれないうちは好きな服で決めるわ。」
洋服は、己のスタイルと体で着るもの。どんな田舎でもヒールで闊歩(かっぽ)し、いつ何時もデカピアスを外さないエリンを見ると、女であることの強さと美しさ、そして楽しさを思い出させてくれるのであります。
女の体はそれだけで美しいし、エロいし、武器にもなれば、子を産み育てることもできる。
太っていても痩せていても、O脚であろうが離れ乳であろうが、己の女体をリスペクトしようではありませんか。夏も本番、バンバンさらけ出していく自信をもらった3本でありました!