北野武監督ベネチアで会見!『アウトレイジ』3作目は「できればやりたくない」
第69回ベネチア国際映画祭
第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に映画『アウトレイジ ビヨンド』で参加している北野武監督が現地時間3日、記者会見を行った。会見には、もはやベネチア名物となった「ビートたけし ザッザリ・ベネチア ファンクラブ」のメンバーをはじめ約150人の海外プレスが駆けつけた。
前作『アウトレイジ』(2010年)の5年後の設定で、北野監督演じる元組長・大友が生きていた! という衝撃から始まる本作。当初は昨年撮影予定だったが、東日本大震災の影響で1年延期した経緯がある。
北野監督は震災の影響について「震災でヤクザ映画を撮っている場合じゃないということで延びたけど、逆に今は腹立たしい。絆とか愛とか表面的なことばかりよってたかって言っているけど、実際、国は何もしない。その状況にイライラして、かえってヤクザ映画を撮ってやろうとヤル気になったというのがあります」と語気を強めた。
もっとも、ヤクザ映画を2本撮ってすでに飽きてしまったそうで「(プロデューサーから)3作目もあると言われるかもしれないので一応脚本は書いたけど、できればやりたくない。次は純愛映画を撮りたい」と本音をポロリ。すかさず隣に座っていた森昌行プロデューサーが「次作を語るのは、この映画がどれくらいの興行成績を収めるか次第ですが、3作目を撮るとここで言うと『じゃあ2作目はビデオで観ればいいか』と思ってしまう人も出てくるので、続編を作る意志はないと、建前上言っておきます……って言いながら作っちゃったらゴメンナサイ」とフォローして、記者たちの笑いを誘った。
また会見では、北野監督による「アートな映画を撮りたいけど今までほとんど惨敗している」などの自虐的発言が続いたため、中国の記者から「中国では3D映画が非常に普及していますが、興味はありますか? 3Dで客を呼ぶのはどうでしょう」と提案されると、「3Dだったらセックス映画を撮ると思います。あとはいらない」と発言し、会場から笑いと拍手喝采が起こっていた。『アウトレイジ ビヨンド』の公式上映は現地時間3日夕方に行われる。(取材・文:中山治美)
映画『アウトレイジ ビヨンド』は10月6日より新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国公開