103歳の世界現役最高齢映画監督、ベネチアに姿見せられず…病気療養で欠席
第69回ベネチア国際映画祭
世界現役最高齢103歳の映画監督として知られるポルトガルのマノエル・ド・オリヴェイラ監督『ゲボ・アンド・ザ・シャドウ / GEBO AND THE SHADOW(英題)』が現地時間5日、第69回ベネチア国際映画祭で上映された。しかしオリヴェイラ監督は病気療養中のため現地入りしなかった。
オリヴェイラ監督は毎年、精力的に新作を発表するだけでなく、カンヌやベネチアなど招待を受ければ現地へ飛び、いつも記者会見や公式上映で元気な姿を見せてきた。2年前のベネチアにも短編上映のために駆け付け、杖こそ持っているが階段も難なく登り降りしていた。
今回上映された新作は95分の長編で、失踪していた息子が、突然戻って来たことで巻き起こる家族の悲劇を描いたもの。マイケル・ロンズデールやジャンヌ・モローなど仏人キャストを起用した仏語による歴史劇で、これは、映画を発明した仏国を賞賛しているオリヴェイラ監督の、同国へのプレゼントだという。
この日、会見に登壇したプロデューサーのルイス・ウルバーノによると、オリヴェイラ監督は体調を崩して数週間ほど入院していたという。ウルバーノは「1週間ほど前に退院し、今は家族の元で自宅療養しています。病状は深刻ではなく、徐々に回復に向かっています」と説明した。
高齢だけに体調を崩しやすいのは致し方ないが、日本現役最高齢だった新藤兼人監督が今年5月29日に享年100歳で亡くなったばかり。オリヴェイラ監督にはまだまだ活躍を期待したいところだ。(取材・文:中山治美)
第69回ベネチア国際映画祭は現地時間9月8日まで開催