ベネチア映画祭でまさかのハプニング!賞を取り違え審査委員長マイケル・マン監督も赤面
第69回ベネチア国際映画祭
現地時間8日に行われた第69回ベネチア国際映画祭授賞式で、コンペティション部門の審査委員長マイケル・マン監督が賞を取り間違えるハプニングがあった。
“事件”が起きたのは審査員特別賞の発表時。場内アナウンスがイタリア語だったので気付かなかったのか、マン監督が読み上げたのは、銀獅子賞(最優秀監督賞)に選ばれた映画『ザ・マスター(原題) / The Master』のポール・トーマス・アンダーソン監督だった。
壇上には、すでに同作品でホアキン・フェニックスと共に最優秀男優賞を受賞した米俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが、トロント国際映画祭に参加しているアンダーソン監督に代わって再登場。フィリップは審査員特別賞の盾だとは知らずに笑顔で受け取り、「アンダーソン監督は僕の長年の友人であり、仕事仲間であり、そして彼は、世界の偉大な監督の一人となった。わたしはなんて幸運なんだろう」とあいさつ。しかしその隣で、壇上にいた他の審査員たちは異変に気付いてざわつきはじめていた。
マン監督がようやく過ちを認識したのは、銀獅子賞のライオン像が、審査員特別賞を受賞した『パラダイス:フェイス(英題) / Paradise:Faith』のウルリヒ・ザイドル監督に渡されたとき。審査員の一人である仏女優レティシア・カスタがマイクを手に「ちょっとした間違いはよく起こるものです」と説明しながら客席に戻っていたフィリップを壇上に呼び戻すと、ザイドル監督が受け取った像と交換させた。ようやく状況が飲み込めた場内は大爆笑。一方、まさかのミスを犯してしまったマン監督は、顔を真赤にして恥ずかしそうに頭をかいていた。
おかげでフィリップは記念写真の撮り直しをするハメに。フィリップはベネチアでの公式上映後にカナダのトロント国際映画祭へ向かったが、授賞式に呼ばれたために『ザ・マスター(原題)』チームを代表してベネチアにとんぼ返りして来たばかり。トイレで急いでスーツに着替えて来たという慌ただしさで、ほとんど寝ていなかったという。授賞式後、大役を果たしたフィリップはホッとしたのか記者会見中大あくびをし、記者たちの同情を買っていた。(取材・文:中山治美)