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韓国映画界の異端児キム・ギドク監督、受賞会見で喜び爆発!金獅子像に何度もキス

第69回ベネチア国際映画祭

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金獅子像にキスし喜びを爆発させたキム・ギドク監督
金獅子像にキスし喜びを爆発させたキム・ギドク監督 - 写真:中山治美

 第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で、韓国映画初の最高賞・金獅子賞を受賞した韓国映画『ピエタ(原題) / Pieta』のキム・ギドク監督が現地時間9日、記者会見を行った。ギドク監督は、同映画祭4度目の参加でようやく手にした金獅子像に何度もキスをし、喜びを爆発させていた。

 同作品は、借金の取り立てを営んでいたカンドの元に、突然、母親だと名乗る女性が現れたことから始まるサスペンス劇。ギドク監督は数年前、ミケランジェロの傑作と称される、十字架から降ろされたキリストを抱く聖母の像「ピエタ」をバチカン市国で観たことが、本作の着想へとつながったという。手荒い取り立て描写や、強引にカンドの人生に踏み込んでくる“母”の執拗(しつよう)さなど、観る者の神経を刺激し、倫理観を突きつけるギドク節は健在だ。

 審査員の一人である、セルビア出身の現代アーティストのマリーナ・アブラモヴィッチは「バイオレンスな映画かと思ったら、次第にスピリチュアル・ヒーリングのような感覚を味わう作品だった。こんな映画は今まで観たこともない」と絶賛した。

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 授賞式後に行われた記者会見でギドク監督は、終始笑顔でうれしさを隠せない様子だった。2000年に『魚と寝る女』でベネチアに初参加して以来、海外映画祭の常連。『サマリア』でベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督賞)、『うつせみ』でベネチアの銀獅子賞(最優秀監督賞)と2004年に三大映画祭の2つを制するなど、出品すれば必ず何らかの賞を受賞してきた賞獲り男だ。ギドク監督は「最初に参加したベネチア国際映画祭が、わたしを西洋諸国へ、そして世界へと連れて行ってくれた」と振り返る。

 学歴社会の韓国では、独学から映画製作をはじめて世界へと踊り出た異端児への風当たりも強く、人間関係などのトラブルにより映画界から距離を置き、山小屋で隠遁(いんとん)生活を送っていたこともある。その苦悩を赤裸々に明かしたセリフドキュメンタリー『アリラン』(2011年)を経ての今回の受賞だっただけに、喜びもひとしおだ。この日もギドク監督は「この賞が韓国で、非常に価値のあるものであると理解されたらうれしい。わたしは学歴はないけど、お金のためではなく本当にこの仕事に愛情を持っています。これからも自分の心で、映画を作っていきたい」と力強く語り、会場の記者たちから温かい拍手が沸き起こっていた。(取材・文:中山治美)

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