アカデミー賞会長、白人だらけのノミネーションに選考メンバー見直し発表
第88回アカデミー賞
第88回アカデミー賞で俳優部門にノミネートされた20人が全て白人だったことなどを受け、ウィル・スミスの妻で女優のジェイダ・ピンケット=スミスが授賞式のボイコットを呼び掛けたり、選考に対する非難の声が上がっている中、アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミー会長のシェリル・ブーン・アイザックスが現地時間18日、多様性を受け入れるためにアカデミー会員のメンバーを見直すと声明を発表した。
シェリルは、「今年ノミネートされたすばらしい作品の真価は認めたいです。それら作品の多大なる功績を称えている一方で、多様性の受け入れが十分でないことに胸を痛め、もどかしさも感じています。難しいですが、重要なことです。そして今こそ大きな変化を迎える時なのです。映画芸術科学アカデミーはメンバー会員の構成を変えるために、劇的な手段を取ります。これから数日、数週間の間に、2016年そしてそれからの会員に、大いに必要とされている多様性をもたらすため、われわれは新たにメンバーの見直しを行います」とコメントした。
選考委員に男性・白人・年配者が多いことから、選考における多様性が欠けているのではないかという批判的な意見が上がるのは今年に始まったことではない。ここ数年、その問題の深刻さは増しており、現会長シェリルは、初のアフリカ系アメリカ人就任者、3人目の女性就任者として、それを重大に受け止め、昨年初めに新たなアカデミー会員候補を発表した際には、多様性のある選考の実現を強調していた。
シェリル自身も、「すでにたくさんの方がご存知でしょうが、過去4年にわたってメンバーを多様にするため、改変を行ってきました。しかし、わたしたちが望んでいるような急速な変化はまだありません。もっと、より良く、そして素早く変化を起こす必要があるのです」と指摘。「これはアカデミーにとって、前代未聞のことではありません。1960年代や1970年代には、活気と関連性を保つために、若者をメンバーに増員しました。2016年、成し遂げなければいけないことは、ジェンダー、人種、民族、性的指向といったあらゆる面を内包すること。わたしたちはこのコミュニティーの本当の問題に気付いています。そして、共に前進するために、わたしに働きかけてくれた人々に心から感謝します」とさらなる多様性の重要性を説いた。
ウィルの妻ジェイダに加え、『マルコムX』『ドゥ・ザ・ライト・シング』などのスパイク・リー監督も参加しない意向を表明している授賞式は、現地時間2月28日にロサンゼルスで行われる。今回のシェリルの声明発表を受け、アカデミー賞はこれから選考面において歴史的変革を遂げられるのかにも注目していきたい。(編集部・石神恵美子)