須賀健太、子役イメージに葛藤…21歳、初悪役で脱却誓う
子役時代、ドラマ「人にやさしく」や映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどで注目された須賀健太が、映画『シマウマ』で初の悪役に挑んだ。21歳になった現在も付いて回る“子役”という世間のイメージに対する葛藤や、そこからの脱却について、胸の内を明かした。
小幡文生の人気漫画を実写化した本作は、裏社会に焦点を当てた暴力描写満載のクライム映画。“須賀史上最悪キャラ”と自身が紹介するアカは、奇抜なメイクを施し、人をいたぶることに快感を覚える狂気に満ちた快楽殺人者だ。返り血を浴びて高笑いするさまは、これまでの須賀からは想像もできないが、「僕の中でイメージを壊すというか、新しい作品に挑戦したいという気持ちの強い時期だったので、原作を読んでこれはやるしかないなと思いました」と出演を即決したそう。
「一時期は“今の自分を見てほしい”というのがすごく強かったので、なんで毎回そう言われるんだろうと悩んだ時期もありました」と“元人気子役”という肩書について赤裸々に語る。受け入れられるようになったのは最近のことだといい、「20代になり、一緒に働いている世代の方々がドンピシャで自分が出演した作品を見てくれていて。人に影響を与える仕事を小さい頃からやらせていただいたというのはすごく大きいことなんだなと実感することが増えてきたんです」と屈託のない笑顔を見せた。
4歳でデビューした須賀が、俳優業を意識したのは11歳、映画『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』の演技で日本アカデミー賞・新人俳優賞を獲得したときだった。それまでは周囲の反応が好きでやっていたが、「改めてたくさんの人が知ってくれている、見てくれているというのを実感しました。目立ちたがり屋だったのもあり、そこですごくこの仕事を仕事として意識し、続けていきたいと思いました」と振り返る。
また、年齢にしては長い芸歴でありながらも、「やめようと思ったことはほぼない」と言い切る須賀。「『これしかない』じゃないですが、ずっとこれをしてきてこれ以上楽しいものはないという結論が出ている。だから逆にやめようと思ったら、やめてしまうんじゃないかとも思います」とあっけらかんと明かしたが、最近では舞台やバラエティーにも活躍の幅を広げており、新しい分野への意欲はとどまらない。
「ここ何年かはどんどん自分の芝居に対する自信がなくなってきている」と子役時代からは心境の変化も。「前は見てもらえるだけでうれしかった、いい意味で役づくりの必要がなかったというか、子供ならではの何にでもすぐなりきれてしまうという感覚。でもそれでは通用しなくなってくる段階にいま来ていると思う」と語り、「悔しい思いをいっぱいして、次につなげられればと思っています」と貪欲な姿勢をのぞかせる。そんな須賀が並々ならぬ熱意を持って臨んだ本作で見せる新境地に期待したい。(編集部・小山美咲)
映画『シマウマ』は5月21日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開