『王様と私』『マイ・フェア・レディ』の歌声吹き替え マーニ・ニクソンさん死去
世界的に大ヒットしたミュージカル映画作『王様と私』『ウエスト・サイド物語』『マイ・フェア・レディ』などで主演女優の歌声を吹き替えた女優マーニ・ニクソンさんが、7月24日(現地時間)に、乳がんのためニューヨーク・マンハッタンで亡くなったことが、友人のランディ・バナさんによって発表された。ニューヨーク・タイムズほか複数メディアが報じている。享年86歳。
1930年に生まれたマーニさんは、音楽一家に育ち、子供の頃からその歌声力が評価され、ハリウッドで活躍する前は、ニューヨーク・フィルハーモニックの独唱者や、カーネギーホールのリサイタリストとして活動していた。女優志望だった彼女は多くのオーディションに落ちたものの、映画会社MGMに入社した。そこで、『王様の私』で女優デボラ・カーの歌声をすべて吹き替えたものの、「吹き替えをバラしたら、二度と仕事ができないようにする」とMGMに言われ契約書にサインしたことを、2007年のテレビニュース番組「ナイトライン」で明かしていた。こうして「ゴーストシンガー」として活躍するようになった彼女は、その後『ウエスト・サイド物語』のナタリー・ウッド、『マイ・フェア・レディ』のオードリー・ヘプバーンなどの歌声を吹き替え、映画業界で広く知られるようになった。
1950年代~60年代のミュージカルの全盛期を支えた彼女は、「ハリウッドを救った陰の立役者」として評価されている。 (細木信宏/Nobuhiro Hosoki)