「バイオハザード」人気支える現在進行形の魅力!プロデューサー語る
昨年、誕生20周年を迎えた人気ゲーム「バイオハザード」シリーズのプロデューサーにして、3作目となるフルCG長編映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』(全国公開中)で原作監修を務めたカプコンの小林裕幸が、ゲームの歩んだ20年を振り返りながら、シリーズの魅力を語った。
小林は1995年にプログラマーとしてカプコンに入社。初めて携わった1作目から、ハリウッド映画化など、ゲームの枠を越えて「バイオ」が成長する姿を目の当たりにしてきた。
長く支持される理由を「常に、その時代を描いているからではないでしょうか」と分析する小林は、「1作目で時間が止まるのではなく、常に現実と近い時代を描き、ゲームもお客さんと一緒に年をとっている。『バイオ』って、そういう現在進行形のコンテンツだと思うんです。ユーザーが操作するクリスやレオンといったゲーム内のキャラも年を取っていたり、そういうゲームはなかなかないですよね」と語る。
そんな同シリーズが節目の年を経て掲げたテーマが“原点回帰”。新作ゲーム「バイオハザード7 レジデント イービル」は、アクションからゲーム性を大きく変化させたホラー作品として話題を呼び、今回の映画『ヴェンデッタ』も、『呪怨』シリーズの清水崇をエグゼクティブプロデューサーに迎え、迫力のアクションと共に、背筋の凍るような恐怖描写が見どころになっている。
ファンおなじみの主人公クリス・レッドフィールドとレオン・S・ケネディが映画初共演を果たし、新型ウイルスによる大都市ニューヨークへのバイオテロを阻止するため奮闘。小林は「ゲームでいうと、『バイオ6』のちょっと後くらいの設定。『バイオ7』とも時間軸はつながっています。原点回帰のホラーをやりたいということで、大好きな『呪怨』の清水さんにお声がけをさせていただきました」と明かす。
「清水さんからは当初、劇中でレオンの幼少期を描きたいという提案をいただきました。レオンの過去に触れるのはホラーとして正しいアプローチだと思ったのですが、ゲームキャラの設定って、さわるといろんな方面に影響が出てしまうのでNGにしなくてはいけなかった。監督の辻本(貴則)さんや脚本の深見(真)さんも含め、皆さんがやりたいことをやれるようにしつつ、ファンのために設定を調整するのが僕の役割。ただ深見さんがもともと『バイオ』マニアで、言わなくてもわかってもらえている部分が多く、やりすぎかなっていう部分を抑えるくらいでよかった」。
その言葉の通り、本作は、ゲームファンを裏切ることなく作り手のこだわりを反映した、迫力のアクションとホラー描写がブレンドされた一本になっており、小林も、「『バイオ』を知らない方にも観てほしいんです」と自信の表情。
ハリウッド版は昨年ついに最終章を迎えたが、小林は「ポール(W・S・アンダーソン監督)はカプコンゲームのファンなので、次は(ハリウッド版)『モンスターハンター』を頑張ってもらいます」と笑いつつ、「バイオ」シリーズの今後について、「ゲームも映画もそれぞれの展開として続けていきたいなと思っています。ファンの皆さんには、『バイオ』が終わることはないと思っていてもらいたいですね」と語った。(編集部・入倉功一)