アメコミ編集者も激務!それでもマーベルを愛する理由
『アベンジャーズ』など映画の世界でも大活躍するヒーローを生み出し続けているマーベルコミック。才能あふれるアーティストたちと共にコミック制作に取り組む日々について、「ヴェノム」「パニッシャー」などに携わる編集者ジェイク・トーマスに、ニューヨークの本社で話を聞いた。
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脚本家であるライターに絵を描くペンシラー、カラリスト(彩色担当)、インカー(ベタ担当)、レタラー(文字組み担当)など、各分野のプロによる共同作業で制作されているアメリカンコミック。編集者は、その膨大な作業の全てに目を通し、クオリティーをコントロールする役割を担っている。
それだけに、ジェイクの日々はかなりあわただしい。マーベルの面接で言われたのは「職場の仕事が終わった後も、家に持ち帰って仕事をしなければいけない。職場を離れたら仕事が終わりというわけではない」ということ。オフィスで直近の仕事やミーティングを片付け、帰宅時の地下鉄と自宅では脚本を熟読する。
「今、読んでいる脚本を書いてるライターは私と妻の友人で、有名なバンドの一員なんです。ヴァンパイアのような生活を送っていて、昼間に寝て夜は起きている。だから彼に電話しなきゃいけないときは、早朝か深夜に電話をかけます。日中は寝ているからね。そういうことは仕事の一環として確かにあります」。日本の漫画家・編集者が激務という話はよく聞くが、アメコミの世界も変わらないようだ。ジェイクは「日本の漫画家のクレイジーな話も、いろいろ聞いたことがありますよ」と笑みを浮かべる。
そんなジェイクだが、大学で友人に勧められるまでコミックを読んだことがなかった。「アメリカンシアター(戯曲)を専攻していたんですが、現代文学が嫌いでかなり不満を持っていました。恋愛ものとかそういう類です。そんな私の不満を聞いて、友人が『じゃあコミックスを読んでみろよ。お前、好きそうだぞ』といって何冊かのコミックスをくれたんです。一心不乱に読みましたね」
その友人の紹介でマーベルの面接を受けて入社。同社ではジェイクのように、演劇関係の人間が多く在籍した時期があったといい、ブロードウェイでも知られるニューヨークという土地柄がのぞく。ちなみに、友人も現在ライターとして活動しているそうだ。
そのうえでジェイクは「この世のものとは思えない、クレイジーなストーリーやキャラクターたちを創るのが仕事ですからね。ファンタスティックだよ。ずっと大好きだったんです。コミックスを好きになる前からね」とマーベルへの愛を告白。また、才能あふれる仲間の存在も彼を支えている。「仕事をするには本当に最高の職場ですよ。オフィスにいるみんながスパイダーマンが好きだし、大きな責任を持ちながら彼のスーパーパワーを使ってみたいと思っているし。自分たちの掟に従って生きようとしている感じなんです」
ちなみに、日々送られてくる膨大なポートフォリオやさまざまな出版物に目を通して、才能を見出すのも編集者の仕事。では、マーベルコミックで仕事をするにはどうすればいいのか。ジェイクは「自費出版でもいいのです。自分でなにかしらの形で出版していれば。持ち込んでくれたものを読んで、面白くて興奮させられたら、一緒に仕事をします」と語る。もちろんマーベルが必要とする能力は非常に高く、社会性も求められるが、ジェイクは「ただ、私たちは誰かを追い込んだりしないし、肩書きも大したものじゃないし、華やかな人物ではありません。言ってることわかるよね」と笑みを浮かべた。(編集部・入倉功一)
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