『ボーダーライン』続編、ベニチオ・デル・トロが語るキャラクターの変化
メキシコ・麻薬戦争を題材にしたサスペンスアクション『ボーダーライン』の続編となる映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』(公開中)より、孤高の暗殺者アレハンドロを演じたベニチオ・デル・トロが電話インタビューに応じ、約3年ぶりとなる続編への思いやキャラクターの変化について語った。
フランチャイズを除けば、ほとんど続編に出演することのないベニチオだが「ある特定のキャラクターについて、より深く掘り下げることはとても魅力的だと思います」と語る。続編の脚本を渡された際にも、喜びと期待が込み上げてきたといい「アレハンドロがストーリーにどのような形で関わってくるのか、彼の違った側面が見れるのではないか、興味深かったです」という。
アレハンドロは今回、アメリカ政府の命令により麻薬王の娘を誘拐しカルテル同士の内戦を画策する。しかし、カルテルに家族を殺された過去を持つ彼は、次第に“任務”と“少女の命”の狭間で重大な決断を迫られる。前作とは違うキャラクターの一面を表現することに難しさを感じたというベニチオは、同時に、続編でアレハンドロの葛藤を描くことに魅力を感じていた。
「ミッションが遂行していく中で、マット(ジョシュ・ブローリン演じるCIA特別捜査官)から少女の始末を命じられますが、命令に対してアレハンドロが取る行動が、前作の彼と比較するべきポイントです。アレハンドロには『家族を殺した人間と同類にはならない』という感情がこみ上げてきて、自分が正しいという決断を下していくのです」
ベニチオは、劇中でアレハンドロと耳が聞こえない男性が手話を使って会話するシーンが印象的だといい、「最初はこのシーンがうまく作品で機能するのか私たちは分かりませんでした。ところが、本編を観た時、私はシーンの完成度にとてもビックリしたんです」と告白。少女と共にメキシコに取り残されたアレハンドロが、宿と食料を確保するため男性と手話で会話する場面では、彼が抱える“痛み”といった人間味が垣間見える。
暗殺者でありながら、任務の遂行と少女の命を天秤にかけ、人間としての良心を試されるアレハンドロ。再びシリーズに戻ってきたデルトロが表現する、彼の葛藤と決断に注目だ。(編集部・倉本拓弥)