伊藤英明の名演が泣ける 「麒麟がくる」斎藤高政&明智光秀の切ない再会に反響
24日放送の大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合・毎週日曜20時~ほか)第十九回「信長を暗殺せよ」で最後の登場となった斎藤高政(義龍)にふんした伊藤英明の演技が「胸がしめつけられる」「切ないシーン」と注目を浴びている(※一部ネタバレあり)。
「信長を暗殺せよ」では斎藤道三(本木雅弘)の死から二年後。越前に落ち延びた明智光秀(長谷川博己)が朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)の命を受け、将軍・義輝(向井理)が戻った京に赴き、道三を討った嫡男の高政(義龍)と再会する様子が描かれた。義龍が、上洛する織田信長(染谷将太)を狙っているという噂を聞いた光秀は、京で実権を握っていた松永久秀(吉田鋼太郎)の力を借りてこれを封じるべく奔走する。
話題になっているのが、義龍と光秀の約6分にわたる再会のシーン。以前に会った時には、高政は道三の側についた光秀に「この次会った時には首をはねる」と凄んでいたが、その時のギラギラとした姿はなく、どこか哀しげ。光秀は自身が手をまわして信長暗殺を阻止したことを知りながらも咎めようとしない義龍の人が変わった様子を見て動揺。義龍は「今まで血を流し過ぎた」と父・道三や弟たちを殺害した罪悪感に苦しんでいるようでもあり、敵対関係にある光秀に美濃のために力を貸してほしいと懇願する。終盤には目が潤んだ伊藤のアップが続き、悲壮感に満ちた美しい別れのシーンとなった。
放送後に更新されたTwitterでは、伊藤が本シーンについて「十兵衛には、またもやフラれました(笑)。翻弄されてばかりです。それでも義龍(高政)は、十兵衛を許してしまう。それだけでなく、今も心から信頼できるのは十兵衛だけなんです。そんな2人の決別のシーンが、切なく美しいものに映っていればうれしいです」とコメントしていた。
“親殺し”のタブーをおかすキャラクターを演じた伊藤だが、自身は道三のファン。当初、道三殺しの高政を好きになれずにいたというが、実際に高政の人生を演じることで「180度変わったと言ってもいいかもしれない」と言い、以下のように振り返る。
「演じさせて頂く役にはいつも愛情を持って演じたいと思っておりますが、今回の高政は父親殺しの汚名ばかりが先立って、彼の功績には目を向けた事がなかったのでなかなか好きにはなれませんでした。しかし、長良川の戦いで高政のもとに集まった兵力は17,500に対し、道三には2,700の兵しかなかったと言われています。道三への不満は高政だけではなく、美濃は多くの国を敵に回していたのです。そして、道三を倒した後、高政は他国との関係を改善しようと尽力した様です。高政は自分の出自に疑問を抱き、ものすごくジレンマと葛藤で、気持ちが揺れ動きますが、高政は道三からの愛情がまっすぐに欲しかったのではないでしょうか。偉大すぎる父を持ち、そして世の中に、時代に翻弄されたんだと思います」
また、盟友から敵対関係に転じた高政と光秀について「高政が唯一心を許せるのが光秀です。光秀に翻弄されてもなんか許せる男で、高政は光秀に男として惚れていたんだと思います。ただ高政は結構嫉妬深いから。その嫉妬が攻撃になってしまうけど、光秀にだけは許せてしまう面があったんだと思います」と自身の解釈を語っている。
なお、本回では義龍が2年後に病死したことがナレーションで明かされたが、孤独な面を覗かせた義龍に同情する声が多く集まり、ナレーションでの退場を残念がる声も見られた。(編集部・石井百合子)