檀れい「麒麟がくる」で呼吸ができなくなるほど辛いシーン
大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合・毎週日曜20時~ほか)で織田信長の母・土田御前を演じる檀れいが、前話「越前へ」で信長の弟・信勝が死亡したショッキングな展開に触れ、第十九回「信長を暗殺せよ」で息子の亡骸に触れた際の心境を「胸が苦しく途中で呼吸ができなくなるほど、辛いシーンになりました」と振り返った。(※ネタバレあり。第十九回までのストーリーに触れています)
織田信長(染谷将太)の盟友となり後に「本能寺の変」で信長を討つ智将・明智光秀(長谷川博己)の人生を描く本作で、檀はうつけと言われた信長を疎み、弟の信勝(木村了)ばかりかわいがる土田御前を演じている。第十八回「越前へ」では信勝が密かに斎藤高政(伊藤英明)と結託し、信長の暗殺を計画するが、返り討ちにあった。
24日放送の第十九回「信長を暗殺せよ」で土田御前が亡き信勝の頬にそっと触れるシーンについて、檀は「絶命した信勝を目にしたときは、何が起こったのか頭の中で理解できませんでした」と息子を亡くした母の胸中に想いを巡らせ、以下のように続ける。「戦国の世に生きる母としては血縁者同士で争うことも常である時代だからこそ、突然自分の子どもを失うかもしれない不安が付きまとっていましたが、信勝の姿を目にしたときはただただ涙が止まりませんでした。大切にしていた信勝を失った悲しみで、本番のときに自分自身、胸が苦しく途中で呼吸ができなくなるほど、辛いシーンになりました。呼吸困難になるのは自分の中では計算外でしたが、それほど土田御前として、信勝を心の拠り所にしていたし、大事に育ててきたので、自分の半身を失ったかのような苦しみを感じました」
「越前へ」では信長が自身を暗殺しようと参じた信勝を前に、母に愛されなかった苦悩を打ち明ける場面があったが、その信長が弟を死に至らしめたことによって、土田御前と信長の確執は決定的なものとなる。「信長を暗殺せよ」では土田御前が、広間に佇む信長に厳しい言葉を投げつけたあと、信長に近づき両手で頬に触れ、「母も殺したのです……」と泣き崩れた。この場面で信長の「頬に触れる」行為は、信勝のそれとはまったく意味合いが異なる。
「頬に触れるのは、私から監督に提案させていただきました。信長も自分の子ですが、弟をも殺してしまうような異質な存在である信長を産んだのは自分だということを土田御前として認識したかったんです。愛おしく思っている信勝に触れるのと、怒りや憎しみ、悲しみで信長に触れるのとで違いが出せたらと思いました。怒りや悲しみをぶつけるだけでなく、触れることによってこの親子の複雑さ、土田御前として何故こんな子が生まれてきてしまったのか、何故ちゃんと信勝のように育てることができなかったのかという思いが出せればいいなと。このシーンが土田御前と信長の決定的な絶縁のシーンでもあるので、見ている方にはこの親子もうダメだなと思っていただけるように演じました」
「信長を暗殺せよ」では斎藤道三(本木雅弘)の死から二年後、越前に落ち延びた光秀が朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)の命で将軍・義輝(向井理)が戻った京の様子を探りに。京で、尾張を手中に収めるべく信長の命を狙うかつての友・斎藤義龍(伊藤英明)と再会する様子が描かれた。(編集部・石井百合子)