オリヴィエ・アサイヤスがホウ・シャオシェンに迫るドキュメンタリー、リマスター版が公開
巨匠ホウ・シャオシェンの軌跡を映画監督のオリヴィエ・アサイヤスが追ったドキュメンタリー映画『HHH:侯孝賢 デジタルリマスター版』が、9月25日より新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開されることが発表された。
ドキュメンタリー映画『HHH: 侯孝賢 デジタルリマスター版』予告編【動画】
80年代に台湾ニューシネマの旗手として台湾映画を世界に知らしめ、デビュー40周年を迎えた今なお世界を魅了するホウ・シャオシェン監督。1989年に『悲情城市』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞し、『黒衣の刺客』(2015)ではカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したほか、2020年には57回台湾金馬奨・終身成就奨(生涯功労賞)を受賞。「人を感動させるには、まず自分が感動することが必要」というスピーチも大きな感動を呼んだ。
今回公開が決まった『HHH: 侯孝賢』は、世界の巨匠たちに映画監督がインタビューを行うフランスのテレビシリーズ「われらの時代の映画」の一作で、台湾で『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998)の脚本を執筆中だったホウ・シャオシェン監督のもとをアサイヤス監督が訪れ、その素顔に迫っている。第20回東京フィルメックス特別招待作品フィルメックス・クラシックで上映され、今春「台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督デビュー40周年記念 ホウ・シャオシェン大特集」でもプレミア上映され、話題を呼んだ。
『パーソナル・ショッパー』で第69回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したフランスの名匠オリヴィエ・アサイヤス監督は、映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」で批評家として活躍していた1984年、台湾ニューシネマの監督たちの存在に大きな衝撃を受け、いち早くフランスにおいてその存在を紹介。本作では、13年来の友人であるホウ・シャオシェン監督はじめ、台湾ニューシネマを牽引した映画人たちへのインタビューを中心に、作品にゆかりの地をめぐっている。タイトル「HHH」はホウ監督の英語表記であるHou(侯)Hsiao(孝)Hsien(賢)の頭文字に由来している。
アサイヤス監督は「一人のアーティストのポートレートとして、ホウ・シャオシェンという人間その人、友人としての彼をおさめたかった」と語っている通り、広東省から台湾に移住した家族のこと、少年期の思い出、そして映画に懸ける思い、映画製作のプロセスについて言葉を引き出すと共に、カラオケを熱唱するホウ監督の飾らない姿なども見ることができる。(編集部・大内啓輔)