実写版『リトル・マーメイド』エリックの背景を深堀りした狙い ロブ・マーシャル監督が明かす
ディズニー実写版『リトル・マーメイド』(公開中)のメガホンを取ったロブ・マーシャル監督が、本作に登場する王子・エリックの生まれ育ちを深堀りした理由や、エリックの新曲「まだ見ぬ世界へ」に込めたメッセージを明かした。
本作はアンデルセン童話「人魚姫」をディズニー風ミュージカルに仕立てた、1989年の名作アニメーション映画の実写版。人間の世界に興味を持つ人魚のアリエル(ハリー・ベイリー)が人間の王子と恋に落ちるさまを、アニメーション版の名曲と実写版オリジナルの新曲を織り交ぜて活写する。
ジョナ・ハウアー=キングふんするエリックは、陸より海上での探検を好む王子だ。もとの世界に疎外感を感じ、自由を求めて生きる部分はアリエルと共通しており、マーシャル監督も「本作はアウトサイダーたちの物語であり、二人はロミオとジュリエットであるかのように、2つの異なる文化の間に架け橋を設けようとします。これは、自分と異なるものたちと親密になることを恐れないという点で、今日的にとても強力な意味を持つことだと思います」と語る。
アニメーション版からのアップデートの一つとして、エリックの生い立ちをより丁寧に描いている部分が挙げられる。実写版で彼のバックグラウンドを深掘りしたことについて、マーシャル監督は以下のように説明した。
「アニメーション版のエリックは、かなり平面的なキャラになっていて、彼の背景となる物語や彼の行動を突き動かす感情や欲求はよく分かりませんでした。なので、そこを探求したいと思ったと共に、アリエルにはエリックとは表面的でなく深い部分で通じあって貰いたいとも思いました。多くのことについて自分たちが共通の関心を互いが持っていることを本作ではふたりが発見する、というのをわたしは気に入っています」
実写版のために制作された新曲の一つに、エリックが歌う「まだ見ぬ世界へ」が含まれる。アリエルの心の軌跡と並行する形で、「彼の感情の動きを観客に見てもらいたかった」というマーシャル監督。「わたしたちが彼に唄ってもらうことにした『まだ見ぬ世界へ』という曲は、ある意味でシェイクスピア的。彼が追い求めている存在は実は自分の目の前にいるのですが、彼はそれに気づいていないのです。この曲は、アリエルも持っているような情熱や活力を、エリックも持っていることが見て取れるのが素晴らしいです。本作全体をより完全にしてくれています」と完成した楽曲に太鼓判を押していた。(編集部・倉本拓弥)